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(20)「遺族」と「老齢」同時受給できる?

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  遺族年金を受給している場合、自分の老齢年金はどうなりますか。

60歳代前半はどちらか一方

 会社員だった夫が亡くなった場合、要件を満たす妻には遺族厚生年金が支給されます。夫の死亡時に妻が30歳以上であれば、原則として終身で受け取れます。

 一方、妻自身が会社勤めをして厚生年金に加入していた場合、老後は自分自身の老齢厚生年金を受給する権利が発生します。

 しかし、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金の両方を、全額受け取ることはできません。

 公的年金には、老齢、遺族、障害の3種類があります。例外もありますが、同時に受給できるのは原則として同じ種類の年金だけ。異なる理由に対する保障をダブルで受け取ることはできないのです。

 老齢厚生年金は、今は60歳から支給されます(2013年度から男性は61歳)。60歳代前半では、遺族厚生年金をもらう権利があっても、どちらか一方しか受け取れません。自分で有利な方を選択する必要があります。

 65歳以降は、まず、自分の老齢厚生年金が全額支給されます。さらに、遺族厚生年金の方が高額なら差額が遺族厚生年金として支給されます。老齢厚生年金の金額分は支給停止になる仕組み。老齢厚生年金の方が高額なら遺族厚生年金は全額支給停止です。

 65歳になると、自分の老齢基礎年金も支給されます。これは例外的に遺族厚生年金と併せて受給できます。ただし、65歳以降に限った措置。老齢基礎年金を繰り上げ受給すると、65歳になるまで遺族厚生年金は支給停止です。

 かつては、65歳以降も基礎年金以外の部分については、遺族厚生年金か自分の老齢厚生年金かを選択する仕組みでした。しかし、男女の賃金格差などから女性の老齢厚生年金は一般に男性よりかなり低額で、遺族厚生年金の方が有利なケースが大半。ほとんどが遺族厚生年金を選択し、妻自身の払った保険料は「掛け捨て」になっていました。夫を亡くした女性は、働いても働かなくても、老後の年金額は同じだったわけです。

 そこで、「妻自身が払った保険料を年金に反映させる」との趣旨で、2007年度から今の仕組みに変わりました。しかし、内訳は変わっても受給額は同じ。働いてきた女性からは不満の声も聞かれます。(林真奈美)

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