俳優 渡辺徹(わたなべ とおる)さん 51
一病息災
[俳優 渡辺徹さん]虚血性心疾患(3)6時間のカテーテル手術成功
手術を受けたのは5月18日。入院から3週間が過ぎていた。
足の付け根の血管から細い管(カテーテル)を通し、冠動脈が詰まった部分に、ステントと呼ばれる金網状の筒を入れて広げる心臓カテーテル手術だ。
手術は午後1時ごろに始まった。当初の予定は1時間。昼食はとっていなかったが、ほかの血管にもステントを入れたため、6時間に及んだ。
「順調ですよ」
手術中、執刀医は何度もそんな言葉をかけてくれた。局所麻酔で意識があっただけに、そうした配慮がうれしかった。安心して身を任せることができた。
「カツ丼食いたいなあ」
緊張感の張りつめた手術台で、そんなことが頭に浮かんだ。手術も後半にさしかかると、空腹をがまんできなくなっていた。
数多く好物がある中、なぜカツ丼が思い浮かんだのか。子どもの頃、テストで高得点を取った時のごほうびはいつもカツ丼の出前だった。それを励みに勉強を頑張ったものだった。
「頑張れば退院というごほうびがある。だからカツ丼を連想したようです」
手術は無事成功。「別人のような心臓になりました」と医師から伝えられた。
妻でタレントの榊原郁恵さんは手術中、病室でずっと待っていてくれた。
「心配かけた。家族のためにも健康にならなくては」。そう誓った。
【関連記事】