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鉛筆の持ち方 初めが肝心
鉛筆を正しく持てない子どもが目立つ。誤った持ち方をしていると、筆先が見えにくく姿勢も悪くなってしまう。視力への影響も心配だ。「保護者が手を添え、子どもに指の置き方などを丁寧に教えるなど根気強く指導することが大切」と専門家は話している。
指の位置 手を添えて指導
握りしめるように鉛筆を持ったり、親指が人さし指にかぶさっていたり……。小学校教師や保育士などで組織する「子どもの生活科学研究会」(東京)が8月、福島県いわき市で行った鉛筆の持ち方に関する調査会場での光景だ。
幼児と小学生計約300人に名前などを書かせたところ、正しい持ち方をしていた子どもは1割に満たなかった。同会代表で、目白大学教授の谷田貝公昭さん(保育学)は、「想像していた以上に誤った持ち方の子どもが多くて驚いた。矯正せず、そのままにしていると、筆先が見えづらく字体が崩れてしまう。姿勢も悪くなり、視力に悪い影響を及ぼしかねない」と心配する。
谷田貝さんによると、通常は小学校入学直後、授業などで鉛筆の持ち方を指導する。ところが、入学前に間違った持ち方が身についていると、矯正に時間がかかるという。
鉛筆メーカーのトンボ鉛筆(東京)が2009年、2~4歳の子どもを持つ母親約300人に行った調査によると、子どもに鉛筆を与えた時期で最も多かったのは2歳の時で27・3%。4歳までに8割近くが鉛筆を与えられていた。
同社で子ども用鉛筆の開発を担当する中山幸恵さんは、「初めが肝心。鉛筆で文字を書き始めようとしたら、保護者がきちんと手を添えて、指を置く位置などを教えてあげてほしい」と話す。子どもは指先に力がなく鉛筆を握りしめてしまいがちだ。その都度、優しく注意してやるといい。
鉛筆選びも重要だ。最近は、指先の力の弱い幼児でも使いやすいように工夫された鉛筆も市販されている。例えば、六角形や円形の鉛筆ではなく、三角形の鉛筆。それぞれの面に親指、人さし指、中指を置けば正しく持てるようになっている。芯も6Bや4Bなど軟らかいものがおすすめだ。
すでに誤った持ち方が癖になっている場合は、保護者が根気強く指導することが必要だ。鉛筆に差し込んで使い、指を置く位置がすぐに分かるプラスチック製の補助具などを利用してもいい。
ただし、本人が持ち方を直したいという意志がなければ、周囲が注意してもなかなか直らない。鉛筆の正しい持ち方の指導に積極的に取り組んでいる東京の滝野川第四小学校校長の太田篤憲さんは、「鉛筆を正しく持つと指に負担がかからず、長い文章を書いても疲れにくい。『はね』や『はらい』も正しく書け、きれいな字を書けるようになる。正しく鉛筆を持つ理由をきちんと教え、納得させることも大切です」と話している。
正しく鉛筆を持つためのポイント |
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・人さし指は、鉛筆を削った先端から25ミリのあたりに置く ・親指は人さし指よりも少し後ろに置き、中指は人さし指より前に出し、3本の指で軽く持つ ・薬指と小指は、中指に沿わせて軽く曲げる ・鉛筆は紙に対する角度が60度になるように持つ ・手の中に収まってしまうような短い鉛筆は、固く握ってしまいがち。ある程度の長さのある鉛筆を使う (谷田貝さん、中山さん、太田さんの話を基に作成) |
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