俳優 渡辺徹(わたなべ とおる)さん 51
一病息災
[俳優 渡辺徹さん]虚血性心疾患(1)疲れとれず舞台降板
1981年、刑事ドラマ「太陽にほえろ!」のラガー刑事役でデビューした。舞台俳優やテレビタレントなどとして活躍、昨年、芸能生活30周年を迎えた。
体に異変が起きたのは、節目の年から1年が過ぎた今年3月頃のことだ。
「はあはあ」。温泉街の石段を上るテレビ番組のロケ。途中で息が切れて思わずひざの上に手を乗せた。体力には自信があったのに。不安がよぎった。
確かに一時130キロを超えたこともある肥満体。糖尿病の持病もあるが、血糖値は改善していた。
次第に寝ても疲れがとれなくなった。「顔色悪いですよ」。5月に主演する舞台が控えていたが、そのけいこ場でも、心配したスタッフから声をかけられるようになった。
元気や楽しさを与えること。それが自分の仕事だと信じてきた。そんな自分が周囲に気遣われるようになった。4月、断腸の思いで舞台の降板を決めた。芸能生活で初めてのことだった。
「糖尿病が原因でしばらく自宅で静養すれば治る」。そう思っていた。でも体調は一向に良くならない。食べ物のにおいをかぐと吐き気がするようになった。5日間、ヨーグルトしか食べられなくなり、点滴をしようと近くのクリニックに足を運んだ。
その時は、まさかこんな事態になるとは夢にも思わなかった。
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