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石井苗子の健康術

yomiDr.記事アーカイブ

アルコール依存症の悩み

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(適度な飲酒量とは? どう判断すればよいのでしょう)

 「お酒は百薬の長」は、罪な言葉です。適量とは、どう判断するのでしょう。

 タバコの分煙が成功した理由は納得しやすかったからです。間接喫煙は「あなたはよくても、他の人が病気になります」と科学的な裏付けが分かりやすかった。お酒はこうはいきません。

 「あなたが飲んだら隣の人が酔っぱらいます」。なんて事はないし、そうとう酔っていても本人は「大丈夫!」なんて言っていることが多いので、強烈な理由がない限り納得して断酒を決心するのは難しいとなります。まして、「あなたアルコール依存症ですよ」とは専門医以外、面と向かって言えないものです。

 今、福島県の医療支援でアルコール依存症が深刻化してきています。被災者のアルコール依存症が増加しても、周囲からは、「飲まずにはいられないからだろう」という目で見られている傾向もあり、解決方法が積極的にとられていない状態です。従って依存症の数は増大しています。

 私たちも訪問先で口腔ケアの奨励をする時に、「仕事もないのにのん気に歯磨きなんか…そんなことどうでもいい」と言われることもあります。仕事がない、生活が良くならない、希望が持てないなどでアルコールに救いを求め、飲んで現実を忘れたいというところから、女性が少量のアルコールで依存症に陥りやすくなっているというデータもあります。

 アルコール依存症に一度なってしまうと、飲まない以外の治療法がありません。一口飲むと、一気に酩酊するまで飲んでしまうというものなのです。体調が悪いから今日はやめようかというコントロールが効かない状態なのです。

 若い時の依存症は断酒のキッカケを見つけやすいのですが、中高年はそれまでの飲酒経験もあり困難になってきます。本人は自制が効くと信じているのですが、周囲にはそう見えない人も多いのです。

 生活から希望が消えていくのを肌で感じながら、日が暮れるまで何もせず飲んでいるとか、慣れない仕事より保証金を飲酒やパチンコに使うなど、最近ではドラッグの魔の手まで伸びてきているという噂もあります。

 一生の断酒しかないと書きましたが、どこからが依存症なのか、どこから厳しい目を向ける必要があるのか、薬はないのか、といった情報の提供や教育の場は、日本社会では徹底していません。

 被災地に限らず、アルコール依存症はもっと広く受け止めて考えていかなくてはならないと思います。今年から来年にかけ、福島県の保健センターに依存症の専門医の講演会を開催する企画から始めようと思っていますが、政治的には優先順位は低いでしょうから、多くの人の協力をあおがなくてはならないと思っています。

 私だって決してお酒を飲まない人種ではないので、他人ごとではありません。

 

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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12件 のコメント

ネイティブアメリカンの教え

禁酒真っ只中

1492年以前には新大陸に酒の類は無かった。・火の味のする水を飲んではならない・酒は意識を濁らせる武器としてのアルコールによって征服されてしまっ...

1492年以前には新大陸に酒の類は無かった。

・火の味のする水を飲んではならない
・酒は意識を濁らせる

武器としてのアルコールによって征服されてしまったアメリカ先住民の教えだそうです。

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冷めた言い方をすれば

チャクル

禁煙も生活習慣病指導も、なぜ国から強制させられるかと言えば健康保険の破綻を防ぐためなのではないでしょうか?私は喫煙者ではありませんが、吸う人の権...

禁煙も生活習慣病指導も、なぜ国から強制させられるかと言えば健康保険の破綻を防ぐためなのではないでしょうか?

私は喫煙者ではありませんが、吸う人の権利もあると思います。そんなに周囲に害を及ぼすものであれば薬物同様法律で禁止するべきものをそれが出来ない以上、あくまでも権利は存在すると思います(もちろん喫煙者のマナーの悪さは指摘されて当然ですし受動喫煙の被害を考えれば分煙は当然と思います)。

生活習慣病だって苦しむのは本人なのだから自己責任でいいはず。だけど治療費や入院費などに保険料がかかるから国から指導される。国費が潤っていればメタボだって放置されていたのでは?

同様にアルコール依存症も、苦しむのが本人だけなら放置されてしかるべきかもしれません。それが入院費・治療費がかかるから予防に力を注ぐ。本人のためというより国費のため?ただ、アルコール依存症は喫煙と違って暴れたりなどして周囲が不愉快な思いをしたり迷惑をこうむることが明らか。分煙というように区切ることも不可能。また、社会的に労働力が減ったりという明らかな弊害が起こる。だから予防は必要だと思います。本人のためというより周囲・世の中・国ために助けてあげる、極論的に冷めた言い方をすればそういう結論でしょうか。

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あまりにも厳しい現実から目をそむけたい?

徘徊カメラマン

 世の中には様々な依存症がありますね。趣味とか嗜好など自分で求める心をコントロールできてこそ何事も楽しくて充実の時を実感できるでしょうに、「症」...

 世の中には様々な依存症がありますね。趣味とか嗜好など自分で求める心をコントロールできてこそ何事も楽しくて充実の時を実感できるでしょうに、「症」となるともはや自分自身で欲求をコントロールできないのでしょうからご本人も周囲の人たちも辛いですね。
 お酒に関しては私は下戸で、ウイスキーや日本酒はまったく飲めません。では飲めない私が酒を飲むとどうなる?翌日は頭痛に悩まされます。さらに深酒していた場合は、頭痛に加えて手足の関節が痛くなりおなかに湿疹が出ます。4~5日間くらい苦しみます。若い頃酒が飲めないことが分からずに仕事の付き合いで、幾度となく苦しみ、40歳過ぎて酒が飲めないと分かりました。(お医者さんのアドバイスにより)
 若い頃は断れない酒も多くて酒席は苦手でしたね。40歳過ぎて酔ったふりも板についていましたが50歳代には世間も、酒を飲めない人への理解も増えて、飲めない失礼を許していただきました。
 お酒屋さんには申し訳ないけれど、手作りの梅酒やあんず酒、ヤマモモ酒、またたび酒を食前に舐めています。震災被災地で、あまりにも大きな暮らしのダメージを受けた方たちが、日常の暮らしの中でクリアしきれないストレスをこなしきけないで、お酒に走られるのでしょうか?
 お酒よりも魅力的な希望や目標や苦しくてもなお周りの家族から寄せられる期待に応えようとする心が喚起されると幸運なのですが、かける言葉もみつかりません。

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