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被災地の母子支援へ寄付を
「産後うつ」増加助産師が巡回訪問
東日本大震災の被災地では、仮設住宅などで不安を抱えながら育児を続ける親が多く、産後うつの例も増えている。妊産婦の支援活動を行っている助産師たちが、活動のための寄付を呼びかけている。
「赤ちゃんの泣き声がうるさいと言われるんです」。7月半ば、岩手県内の仮設住宅を訪ねた助産師の伊藤怜子さんに、生後間もない赤ちゃんを抱いた母親が涙をためて訴えた。狭くて壁の薄い仮設住宅では、泣き声が近隣に響く。伊藤さんは「お母さんたちは不便な環境で赤ちゃんを抱え、我慢し続けている。話を聞いてあげる人が必要」と話す。
伊藤さんは震災後、同県大船渡市と陸前高田市で赤ちゃんと母親を対象としたサロン「こそだてシップ」を開き、母親の相談に応じてきた。サロンは盛況だが、「サロンまで来られない人も多いはず」と、今年5月から巡回訪問を始めた。しかし、スタッフや資金が足りず、訪ねることができた仮設住宅は、ほんの一部。産後うつや乳幼児虐待につながりかねない例もあり、「巡回数を増やしたい」という。
こうした被災地での妊産婦支援活動を後押ししようと、7月には助産師らでつくる一般社団法人「ジェスペール」(東京)が、個人や企業に資金援助を呼びかける「東北こそだてプロジェクト」を始めた。寄付の一部は、既に「こそだてシップ」が助産師を巡回訪問させる費用にあてられた。また、母子の相談に乗ってきた福島県助産師会の「会津助産師の家おひさま」の活動などにも使われる。
東北大が、宮城県沿岸の被災市町で昨年末から今年3月にかけて行った調査では、「産後うつ」と疑われる母親が通常の2~3倍に増えていた。ジェスペール代表の宗祥子さんは「被災地のお母さんたちが安心して出産、子育てができるように継続的な支援が必要」と訴える。
寄付は、大手スーパー「西友」が全国の店舗のレジで受け付けている。ジェスペールのホームページでも、振り込み方法を紹介している。
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