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都市 増える「買い物難民」…自治体が調達サービス
東京などの大都市に住んでいるのに、食品や日用品の買い物に困る「都会の買い物難民」が増えている。生鮮食品を扱う商店などが減り、一人暮らしの高齢者らが不便を感じる地域が増えているとして、自治体も支援に乗り出した。
東京都港区のマンションに40年以上暮らす女性(83)は、「こんな街中で買い物に困ることになるとは」と嘆く。
20年余り前まで周辺には戸建て住宅も多く、「八百屋や魚屋のほか生鮮食品を扱うスーパーも複数あった」という。現在はマンションやオフィスビルが立ち並び、商店やスーパーは激減した。
女性は一人暮らしで、血圧が低く体調が優れない。このため、買い物は定期的に訪問する介護ヘルパーに頼むことも。200メートルほど離れた場所に1軒スーパーはあるが、長い坂道がきつく、「体力が不安で一人ではめったに出かけない」と話す。
港区が昨年、区内の65歳以上の一人暮らし高齢者約4000人に行った調査では、「近くに店がない」「重いものを運ぶのが大変」「一人で外出するのが困難」など、約4割が買い物に何らかの困りごとを感じていた。
これを受け、区は高齢者の買い物支援事業を先月から始めた。オフィスビルが増えた一部地域での試みで、一人暮らしの高齢者か高齢者のみの世帯が対象。野菜や米、水、トイレットペーパーなどをファクスなどで注文してもらい、区内の商店街から商品を調達。地元の福祉施設で月2回、配布する仕組みだ。
利用料は1回50円。さらに受け取った商品を地元のシルバー人材センターの会員が自宅まで一緒に運んでくれるサービス(50円)もあり、住民同士の交流も促すという。
農林水産政策研究所が昨年まとめた推計では、自宅から生鮮食品を扱う店舗まで500メートル以上あり、自動車を持たない高齢者は全国で350万人いる。このうち4割の140万人は東京、大阪、名古屋の3大都市圏の在住者。
こうした状況を受け、都市部の自治体でも買い物難民対策に取り組み始めている。千葉県浦安市は今年、市内の福祉施設で地域の高齢者を対象に、地元の商店が米や酒類を出張販売する試験事業をスタート。堺市では、市と商業者、専門家らが連携し、商店街が行う移動販売にノウハウをアドバイスしている。
東京都練馬区は来月から、駅から離れた一部の住宅地を対象に、生鮮食品などを販売し、住民の交流も図れる「コミュニティショップ」の開設を支援。さらに電動アシスト付き3輪自転車で移動販売や商店街への送迎をするNPOなどへの支援事業も始める。高齢者のほか、乳幼児を抱える主婦らも対象にしている。
港区の調査を行った同区政策創造研究所の所長で、明治学院大教授(地域福祉論)の河合克義さんは、「大都市にもスーパーなどが少ない地域があり、動ける範囲が限られる高齢者らには買い物などの日常生活が困難になってしまう。住民同士のつながりも希薄なので、そうした実情に応じた支援が必要だ」と話している。(鳥越恭)
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買い物難民
そんちゃん
人様に頼んで買ってきて頂くのは勿論良いのですが、自分で見て選んで買いたいのです❗そう言う買い物がしたい❗❗
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