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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

お腹を痛めて産まないとダメなの?

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離乳食を食べる時にお座りする椅子。脱走したがります

 まだまだ暑い日が続きますね。娘が毎朝必ず5時に起きるので寝不足の日が続いています。何とかおっぱいでもう一度寝かせようとするのですが、親の体を支えにつかまり立ちをしたり、ハイハイで体を乗り越えたりするので、こちらも起きざるを得ません。遊んであげるとものすごく嬉しそうにするので仕方ないなあという感じです。

 先日、ツイッターで麻酔分娩についての新聞記事が話題になっていました。麻酔分娩は高齢出産など体力のない人には特にメリットがあるが、なかなか日本では広まらないというような内容でした。

 東京で子供を産んだ友人や知人の話を聞くと、「無痛分娩にした」という人がそれなりにいて、「どうして無痛分娩にしなかったの?」と不思議そうに言われることもあります。

無痛分娩とは

 麻酔分娩は通常、硬膜外麻酔と言って背中から脊髄神経の近くに向かってチューブを入れ、鎮痛作用のある薬を入れて陣痛や産道が広げられる痛みを和らげるものです。完全に痛みがなくなるわけではないので無痛分娩ではなく和痛分娩などと呼ばれます。母体には脚が痺れる、血圧が下がる、尿をしたくなる感じが分かりにくくなるなどの副作用が現れることがありますが、赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。

 出産に関しては、分娩時間が延びる、吸引・鉗子分娩が増える、陣痛促進剤を使用する頻度が増えるなどの影響があります。私が主治医に「希望があったら麻酔してあげるよ」といってもらっていたのに麻酔分娩を選択しなかった理由の一つが、分娩時間が少しでも延びるのがいやだったということなのです。帝王切開率は統計上増えないようですが、過去に麻酔分娩の症例で分娩が長引き、結局帝王切開となった例にいくつか遭遇したことも麻酔分娩を選ばない理由となりました。

「陣痛を味わってないくせに」

 麻酔分娩を選択しなかった理由は、一度は陣痛を味わってみたい気がしたからということもありました。妊娠する前までは妊娠や出産に関することに言及すると時々「産んだことないくせに」という人がいたので、「陣痛を味わってないくせに」と言われても嫌だという気持ちも正直ありました。それは妊娠出産についてブログなどで発信している私ならではの理由でありますが、「お腹を痛めて産んでこそ母性が芽生える」という根拠のない根性論者に遠慮して麻酔分娩を選択しない人は日本中にいるのではないかと思います。もちろんそんなものは迷信でしかありません。痛みに耐えた人、耐えざるを得なかった人が自分が我慢したことへの意味づけとしてそのような迷信を広める気持ちは分からなくもありませんが、たまに男性がそう言っているのを聞くと憤りを覚えることもあります。

 実際に陣痛を経験した個人としての感想は、安産でも出産は激烈に痛く、出産後すぐは娘を抱っこするのも辛かったので、あの痛みに意味があるとは思えません。国によっては半分以上が麻酔分娩のところもあるので、日本の妊婦さんも痛みが嫌な人は少しでも軽減できると良いと思います。

医療資源の不足

 しかし、偏見以上に麻酔分娩の普及を妨げているのは医療資源(医療のヒト・モノ・カネ)の不足でしょう。私が勤めたことのある病院では麻酔分娩は産婦人科医が行う施設が多かったので、研修医の時は麻酔分娩希望の妊婦さんが夜中に陣痛で入院すると呼ばれて麻酔をかけたりしたものでした。しかし全国的には麻酔科医が行う施設の方が多いようです。麻酔科医も産科医同様充足していないので、麻酔分娩が出来るのは余裕がある施設に限られます(そもそも麻酔科医がいない分娩施設が多いです)。

 また、本来は自然に陣痛が来てから麻酔をかけ始めるものなのですが、24時間体制で対応していないところも多く、日付をあらかじめ決めて陣痛誘発をするという計画分娩と併用するところが多いようです。ですが、子宮口がお産の準備ができていない状態で計画分娩をすれば帝王切開率が高くなるため、自然に陣痛が来てからの麻酔分娩が理想です。

「苦しみが当然」すたれる日

 親になりたいという人のハードルが少しでも低くなるよう、出産と育児の苦労をできるだけ取り除ければよいと思います。ただ、周産期医療においては安全性と利便性の確立が急務なので、麻酔分娩の普及まで対策の手を回すのは難しいと思います。いくつかの地域で勤めて来ましたが、今の日本で麻酔分娩をしようかと迷うことができるのは、首都圏の一部の地域の経済的に恵まれた人というのが現状だと感じます。

 遠い先になるかも知れませんが、出産も育児も「覚悟して妊娠したのだから苦しみに耐えて当然」という考えがすたれて、子供を持つことは楽しいことだという社会認識になる日が来ることを願っています。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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15件 のコメント

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苦行はデメリットでした

DORA

私は40歳初産でした。母の自宅介護4年の間に体力が衰えたのもあって、30時間の陣痛は気力も体力を奪いました。旦那の義父義母と同居での育児生活がす...

私は40歳初産でした。母の自宅介護4年の間に体力が衰えたのもあって、30時間の陣痛は気力も体力を奪いました。旦那の義父義母と同居での育児生活がすぐに始まりました。(ちなみに義父義母旦那は基本的に多少の意見の相違はあっても、いい人たちです)

今から思えば、産後うつだったのだと思います。赤子を家に置いて夜中の3時まで外をさまよったこともあります。生理の再開は2年後でした。

一体何のための出産なのか。出産はゴールではなく始まりにすぎません。幸せな、健やかな気持ちと体で、子育てをスムーズに始めたかった。長女をもっと慈しんであげたかった。
本当にしんどい月日でした。

4年後、次女の分娩時間3時間。長女の時とのあまりの心身の違いに、後悔することしきりです。4年もトシ取ったのに、今の方が元気で赤子を可愛がれる。

苦行なんて必要ないと思います。
産後の気力体力を残す方が大事!!
無痛分娩は子供のためにも、選択するべきときはすべきと、私は声を大にしていいたいです!

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痛みに弱いので

まみ

妊娠する数年前に赤ちゃんのことに携わる仕事をしているいとこに「無痛で産むとやる気のない子が産まれてくるよ」とか言われましたが人一倍痛みに弱いので...

妊娠する数年前に赤ちゃんのことに携わる仕事をしている
いとこに「無痛で産むとやる気のない子が産まれてくるよ」とか
言われましたが人一倍痛みに弱いので妊娠をした際は
無痛分娩が出来る病院を探すのに片っ端から電話しました。
里帰り出産で自宅の近くにも産院があるし
母は元産婦人科で勤務していました。
なのでかなり言われましたが、「反対する気持ちはわかるけれど
産むのは私だから私が決める」と自分の意見を押し通しました。
初産で37歳という年齢でしたが病院に着いてから
2時間半という速さで産まれました。
無痛だから遅いとかは関係ない気がします。
ちなみに私が出産した病院に来る妊婦さんはほとんどが
無痛を希望する人なんだそう。
子宮口が6センチまで開いてからの麻酔だったので
人並みに痛みは経験してます。
その後痛みはかなり無くなりましたがゼロではなかったです。
同じようにいきんで産みましたよ。
無痛で母親だけが楽になるのではなく
産まれてくる赤ちゃんにとっても自然分娩より
楽に産まれて来られるんだそうですよ。

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私も無痛分娩

逆児母

私は自分が産まれる時つまり私の母の出産が無痛分娩でした。私の年は40歳。しかも逆児で足から産まれました。予定無痛分娩!?で陣痛が来てから病院に行...

私は自分が産まれる時つまり私の母の出産が無痛分娩でした。
私の年は40歳。
しかも逆児で足から産まれました。

予定無痛分娩!?で陣痛が来てから病院に行き当直の先生が日本で何本の指?に入る人だったらしくラッキーだったようです。

それを聞いて30年。
勿論私も無痛分娩のつもりが何の因果か逆児!
帝王切開になってしまった…。

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