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救急の現場から

からだコラム

[救急の現場から]診療科の細分化が招く混乱

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 「そこなら、近くにいくつも救急病院があるはずだけど」

 「はあ、そうなんですが、どこも端末がヒットしなくてですね……」

 救急隊によれば、夜7時過ぎに、6歳の男児が自転車に乗って歩道を走っていたところ、段差で転倒したとのこと、電話の向こうでは、火がついたように子どもが泣きわめいている。

 「で、どんな検索をかけたんだい?」

 救急車には、受け入れ可能な救急病院を探すための車載端末と呼ばれるコンピューターが積まれている。選定に必要な情報を入れると、現場から近い順に病院名が表示されるという優れものである。

 「え~と、右側頭部の打撲と前額部の挫創と右足関節の腫れ、それと6歳の幼児ということで、脳神経外科と形成外科と整形外科、それに小児科の診療が可能という条件でかけてみたんですが……。1件もヒットしませんでした」

 「当たり前だ、そんな選定かけてると、東京中探したって見つからないぜ」

 本来、救急は、外科系(けが)、内科系(大人の急病)、小児科に分けられている。

 いつの間にか、それが、形成外科だの消化器内科だの、病院側の都合で、あるいはそれが進歩だとでも錯覚したのか、どんどん診療科が細分化されていき、気がついたら、救急病院の数はあっても、収容先を見つけるのは容易なことではなくなってしまった。

 残念ながら、流行のIT機器を導入したからといって、解決する問題ではない。現行の救急医療体制が、救急病院側の視点からだけのいびつなコンセプトの上にできあがっているのがその理由である。(救急医・浜辺祐一)

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