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[遠距離介護 どう乗り切る]地元の協力態勢、整えて

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 遠くで暮らす親が倒れたら――。親元に定期的に通う「遠距離介護」が広がる中、ケアのあり方をめぐって不安や悩みを抱える人も少なくない。どのように乗り切ることができるだろうか。

東北地方の両親の遠距離介護を続ける男性の相談に応じる川上さん(左)

 介護の相談に応じるケアコンサルタントの川上由里子さん(49)は2週間に1度、都内から静岡市内の実家に通う。新幹線を使って片道2時間。遠距離介護歴は4年余りになる。

 2008年4月、開業医だった父親(87)が自宅で転倒、胸椎を骨折して入院した。2か月後に退院したが、歩行につえが必要となり、「要介護1」と認定された。

 ケアマネジャーの資格を持つ川上さんは、父親には歩行のリハビリが必要と考え、デイケアや訪問看護などの利用を勧めたが、父親は、母親(75)とともに「必要ない」と拒んだ。趣味のゴルフからも遠ざかり、母親の介助を受けながら家に引きこもりがちになった。

 川上さんは、相談業務やセミナー講師などの仕事をこなしながら帰省し、散歩や外食などで両親を外に連れ出すよう心がけた。地元自治体の福祉担当者や両親の親しい友人と会うなどして、緊急時に連絡し合える関係を整えた。

 実家に足を運ぶうちに、開業医として地域医療を50年以上支えてきたことに誇りを持つ父親が突然、介護を受ける立場になり困惑していたのだと理解した。

 1年ほどたつと、父親は川上さんの提案を受け入れ、デイサービスにも通うようになった。

 遠距離介護をする人からは「親が言うことを聞かない」「介護サービスを受け入れない」といった相談も寄せられるが、川上さんは自身の体験から、「焦らずにじっくり対話を続け、離れていてもできることを積み重ねていくことが大切」とアドバイスする。

 NPO法人「パオッコ」(東京・文京区)は月に1回、遠距離介護の当事者が集まるサロンを開いている。参加者の中心は40~50歳代。

 「長男なのだから、実家に帰ってくるべきだ」「同居していないから楽でしょう」。多くの人が周囲の認識との板挟みに苦しむ胸中を打ち明ける。

 理事長の太田差恵子さんは、ジャーナリストとして20年前から遠距離介護の問題を追ってきた。親と同居しないことに罪悪感を抱え、うつ状態に追い込まれる人もいたという。

 だが、仮に同居を選択する場合にも困難が立ちはだかる。故郷への転勤・転職、家族の説得も必要だ。呼び寄せるにしても、長年住み慣れた場所を離れることを親がいやがる場合もある。

 そこで、太田さんが強調するのは「同居することだけが介護ではないと、考え方を切り替える」ことだ。

 太田さんは「地元のケアマネジャーや主治医など、介護に関わる人たちのマンパワーを活用することが可能だし、きょうだいがいれば、一人で抱え込まず協力し合ってはどうか」と勧める。介護の程度が軽い場合だったら、電話で「元気?」と声をかけたり、携帯電話のメールでやり取りをしたりすることで、親との対話を増やせる。帰省した時に、かかりつけの医療機関、友人の存在などをある程度確認しておけば、対話のきっかけや親の日常を知る手がかりにもなる。

 太田さんは「介護は10年、20年と長期戦になることも珍しくない。頑張りすぎず、親子が共倒れしないように自分自身の生活設計も重要です」と話す。(野村昌玄)

NPO法人」「パオッコ
 「ひとりの経験はきっと誰かの役に立つ」を理念に、1996年に発足。ホームページ(http://paokko.org/)では、離れて暮らす親の介護に関する情報や体験談などを紹介。会員には、メールマガジン「パオッコ通信」を配信している。
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