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医療部発

医療・健康・介護のコラム

マインドフルネスで「暑さ」に強くなった

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7月下旬、武道の夏合宿で沖縄県座間味村の阿嘉島に行ってきました。海がすごくきれいで、シュノーケリングで魚もたくさん見ました。

 マインドフルネスは、もともと初期仏教の瞑想法のテクニック。2500年ほど前、お釈迦様が、人びとが幸せになれるように作り上げた技術です。ですから、うつ病や不安障害など心の病気の人だけでなく、だれもが使えて何らかの効用を得られるテクニックだと言えます。

 では私自身、マインドフルネスを知って、どんな「いいこと」があったのでしょうか。

 昨日のブログでも例として挙げた「怒り」を抑えられるようになった。「自慢したい!」「良く思われたい!」という「欲」に気づくようになった。いろいろありますが、今の時期に、いちばん分かりやすい事例を挙げましょう。

 それは、「暑さ」に強くなったことです。

 私は、ものすごく暑がりです。寒いのはけっこう強いけど、暑さには弱い。だから、四季の中で順位を付けるとすると、(1)秋(2)春(3)冬(4)夏の順でした。電車でも「弱冷房車」は大嫌いです。

 しかし、マインドフルネスを自分なりにやるようになってからは、こう変わりました。

 午後2時ごろ、会社から外に出るとします。近年の東京の夏は特に、ものすごい日差しと、ムッとする湿気が襲ってきます。

 これまでなら、「あっつい!」→「この暑さは本当にかなわんなあ」→「だから夏は嫌いなんだよ」→「早く秋が来てくれないかな」→「ああ、それにしても暑過ぎる! 嫌だ嫌だ…」などと、暑さを拒絶・否定する感情と思考が次々と湧いてきていました。

 でも、今は違います。

 まず、「いま、『暑い』と感じている」と気づきます。次に、皮膚の感覚を味わいます。ジリジリと皮膚が刺されるような感覚。皮膚の表面の温度が上がり、少しほてっている感覚。じんわりと汗がにじみ出てくる感覚…。

 次に、気持ちを見つめます。すると、たしかに「不快だ」「この暑さは嫌だ」と思っていることに気づきます。

 こうしてしっかり観察するだけで、もうほかの感情は湧いてこないのです。ネガティブな感情へと進むことはない。そして間もなく、「嫌だ」という感情すら消えていきます。

 自分の周りに「暑さ」という現象があり、自分はその暑さを感じ、それを「不快で嫌だ」と思った。それ以上でもそれ以下でもない…。

 
午前中、民宿から練習場所まで3キロ弱の道のりをランニングで向かいます。午前の稽古を終え、歩いて宿まで帰る途中でパチリ(右から2人目が私)。沖縄は暑かったけど、マインドフルネスのおかげで大丈夫でした!

 数日前に外出した時も、とても暑かったのですが、この時は、ふと、日差しの「明るさ」に気づきました。痛いほどの暑さなのですが、同じ太陽の光が産み出したこの明るさだけを見ると、けっして不快ではない。雨でどんよりと曇っている時に比べると、むしろ気持ちがいいぐらい…。

 以前なら、暑さへの嫌悪に隠れて気づかなかった、そんなことにも気づきました。

 こうして私は、今では夏がそれほど苦手ではなくなりました。

 何十年もの間、毎年、夏の暑さにすっかり参っていた私にとって、この変化はけっこう画期的なことなんですよ!

 
 

 

山口博弥(やまぐち・ひろや) 1997年から医療情報部。胃がん、小児医療制度、高齢者の健康、心のケアなどを取材してきた。自称・武道家。

 山口博弥記者が担当した連載「医療ルネサンス[シリーズこころ]マインドフルネス」は、下記のリンクからご覧になれます。

 (1)うつ病治らず新治療へ

 (2)嫌な感情を受け入れる

 (3)DV被害の母子をケア



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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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