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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

乳製品で乳腺炎? おっぱい都市伝説2

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いとこの6歳のおにいちゃんとダンスをする娘

 先週はお盆休みで保育園がお休みだったため、少しゆっくりしました。週末に関西に帰り、妹たちや甥たちと1泊旅行に出かけました。夏休みシーズンのためか駅や空港で家族連れを多く見かけました。私も子連れで移動しましたが、隣の座席の方にあやしてもらったり、ベビーカーを運んでもらったり、「かわいい」と声をかけてもらったりして温かい気持ちになりました。私には2人の妹がおり、それぞれに2人ずつ息子がいるのですが、女の子はうちの娘が初めてです。甥たちが小さな従妹と一緒に遊んでくれたので、娘はとてもご機嫌でした。

 先週の「母乳をめぐる都市伝説」で、授乳中の食べ物について、医師や助産師、ママ友によって言うことが違うと書きました。その後、いくつかの施設でどのような指導をしているか聞いてみたのですが、やはりまちまちでした。「授乳中はカロリーの高いもの、脂っこいもの、乳製品を控えるように指導している」という施設もあれば「普段はしっかり栄養を取ってもらうが、乳腺にしこりが出来てきた場合は生クリームを控えてもらう」というところも。

 私が産んだ病院はかなり母乳スパルタホスピタルだったのですが、食べ物について指導を受けた記憶があまりありません。寝不足で頭がぼんやりしていただけかもしれませんが、退院後に乳腺炎や食物アレルギーを恐れて特定の食べ物を避けたりはしていませんでした。むしろ子供に栄養を吸い取られるためにお腹が減ってたまらず、大量の食事を摂取していました。今までのところ乳房トラブルはありません。

脂肪摂取で乳腺炎になるのか

 脂っこいものや乳製品を食べると乳腺炎になると思っている医療者が予想通り少なくないようですが、脂肪を摂取することが乳腺炎を引き起こすわけではありません。乳汁の産生と流出のバランスです。

 乳汁分泌量が増えると乳房が張り、授乳や搾乳が不十分だと病的に乳房がカチカチに張ります。乳房は赤く硬くなり、痛みを伴います。その状態が続くとむくみを伴い、リンパ管が圧迫されて乳腺炎へ移行し、発熱や悪寒などの全身症状を伴うようになります。乳腺炎は3~20%に起こると言われていますが、かなり辛い症状が出るために授乳中の母親からとても恐れられています。

ポイントは授乳回数など

 乳腺炎の誘因は、乳頭の損傷、授乳回数が少ないこと、不適切な乳頭への吸着や吸う力が弱いこと、母親または赤ちゃんの病気、急な断乳、乳房の圧迫、やや親のストレスや疲労などで、特定の食事内容が乳腺炎のリスク因子となる科学的根拠はありません。カロリーの高いごちそうを食べれば乳汁の分泌が普段より増すでしょうし、ごちそうをゆっくり食べているうちに普段より授乳間隔が空いてしまい乳腺炎になる人もいるでしょう。ですが、特定の食べ物のせいではないのです。逆に言うとこまめに吸わせれば普段よりこってりしたものをたくさん食べても大丈夫なのです。

 また、いつも同じ姿勢で授乳をしていると乳管によってはいつもうまく吸い取ってもらえないところができて、その乳管のエリアがカチカチに張りやすくなってしまうということもあるので、乳腺炎を繰り返す人は授乳姿勢を変えてみると効果があるかもしれません。

たくさん食べて、吸ってもらおう

 いずれにしても母乳を出すためには母体が栄養を取らなくてはいけません。乳腺炎を恐れて食べ物を控えることは赤ちゃんのためによくありません。たくさん食べて吸ってもらえばいいので、食べ物を我慢したりしないで欲しいのです。

 医療者は患者に「指導」する機会が多いですが、それは患者の生活を制限するある種の特権であるとも言えます。妊娠中の体重指導や、切迫早産と判断された妊婦への安静指導もそうですが、医療者が一言、言うことで母親は生活を大きく変えることになるのです。乳房について無駄に母親に我慢を強いるような指導がなされなくなることを願います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、性科学者。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)について、詳しくはこちら

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10件 のコメント

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私は疲労でした

ちづ

出産後、毎週のように乳腺炎になっていました。食事に気を配り、こってりしたものは食べないようにしていましたが、です。あまりにつらくて断乳も考えまし...

出産後、毎週のように乳腺炎になっていました。食事に気を配り、こってりしたものは食べないようにしていましたが、です。あまりにつらくて断乳も考えました。すがるような思いで地域の情報誌で電話をしまくり、ようやく探し、混雑していながらも気を使ってすぐ受け入れてくれた助産院では背中のマッサージを受け、白斑を浮かせてもらいました。完全に取れることはなかったですが、肩の周辺のコリを指摘されて、家事の手抜きをしてとにかく疲労を最小に抑えること、ストレッチと入浴を毎日意識的にするようになってからは再発はいっさいありません。助産院で食事制限の指導はなく、むしろ気にしないように促されました。
最初はもちろん恐怖感が付きまといましたが、いざとなれば頼れる助産院を見つけたことで気が楽になりました。クリスマス、正月とケーキやフライドチキン、すき焼き、ステーキ、おもちも好きなものを好きなように摂取しました。カロリーが高いものをとったり、授乳間隔が開いてうっかりぱんぱんに乳が張っても、落ち着いて搾乳すればすぐ軽快になります。
もちろんこってりしたものは胃に負担をかけるので、疲労がたまった場合には避けたほうがいいのかもしれません。乳腺の状態によるところも大きいのだと思います。でも、ただでさえ忙しく余裕のない中で食事にもピリピリしていては、少しも気持ちが安らぐことがなく私には悪循環でした。今までは母乳の時間が正直憂鬱になりましたが、今では前向きに完全母乳に取り組む気持ちになっています。

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人によるのでは?

はい

乳腺炎になりやすい人は、母乳の出口が狭い(細い)そうです。生産はされるのに、出口が狭いためにつまってしまうのだとか。私の母がそうでした。母乳自体...

乳腺炎になりやすい人は、母乳の出口が狭い(細い)そうです。生産はされるのに、出口が狭いためにつまってしまうのだとか。

私の母がそうでした。母乳自体はたくさん作れるのに、出口が狭いために、つまりやすかったそうです。脂っこいものや乳製品を食べると、いっぱつでつまったそうで、食事制限をしていたそうです。

科学的根拠は発見されていないのかもしれませんが、これは彼女が実際に体験したことです。高カロリーな物を食べると、過剰生産されて、逃げ場のない馬入がつまり、乳腺炎になったそうです。

「私は母乳がつまらないように、こんなにがんばって食事を制限しているのに、世の中にはケーキやチョコレート、何を食べても、おっぱいがつまらない人がいて、不公平だわ」と言ってました。

そんな経験があったので、私の出産のときは、ずいぶんおっぱいのことを心配してくれましたが、私の母乳の出口はとても広くて(太くて)、子どもが飲んでいないときでもおっぱいが漏れて、産後数週間は胸に手ぬぐいタオルを二重にあてて、それを一日に何度も取り替えていました。父方の祖母からの遺伝だったようです。

それから、食事によっておっぱいの質が変わると言うのも、母は体験しています。私の弟は、母が柑橘類を食べたあとのおっぱいは、まったく受け付けずに、ギャン泣きしたそうです。

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食事制限から解放されたい

Autumn

もうすぐ生後2か月の子を育てています。母乳がよく出るので完母で育てていますが、何より辛いのが乳腺炎です。すでに二度乳腺炎で高熱が出ています。食事...

もうすぐ生後2か月の子を育てています。

母乳がよく出るので完母で育てていますが、何より辛いのが乳腺炎です。
すでに二度乳腺炎で高熱が出ています。

食事に気を付ければ予防できるはずと思い、大好きな洋菓子、乳製品、パンを一切口にしていませんでしたし、なるべく脂質の少ない食事を心がけていたにもかかわらず、また乳腺炎になってしまい、「もはや食事は関係ないのでは?」と思うようになりました。

それでも、乳腺炎の辛い症状が怖くて食事制限を緩めることはしていません。
そのせいか、妊娠中に12キロ増えた体重が、ほぼもとに戻っていて、体重減少のペースが速すぎるような気がしています。

授乳回数も気を付けていますし、授乳の体勢もコロコロ変えるようにしていました。
本当に「できる限りのことはやっている」という状況でまた乳腺炎になってしまい、何を信じたらいいのかわかりません。

「きっと人それぞれで、大丈夫な人とそうでない人がいるのだ」というふうに思っています。
「乳腺炎と食事は無関係」と、医学的に立証されればいいのにと思います。

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