演歌歌手 大江裕さん 22
一病息災
[演歌歌手 大江裕さん]パニック障害(2)自分を責め 人混みも怖い
2010年11月の九州でのコンサートツアー中、体の異変が始まった。
ただ、激しい動悸など発作的症状はずっと続くわけではないため、スタッフに「明日はさせてください。歌います」と話し、何とかステージに上がろうとした。ところが舞台袖に立つだけで動悸が始まった。声も出ない。お客さんに申し訳なくて、舞台で土下座した。結局、コンサートは同じ音楽事務所の先輩歌手などに代役を務めてもらった。
帰京してすぐに病院で検査を受けた。脳や心臓に異常はなかった。
「でも明らかに体はおかしい。ずっと寝起きのようなボーッとした状態。食欲もなく、朝昼晩の時間感覚もおかしくなった」
心配した事務所の社長が心療内科の受診を勧めてくれて、初めてパニック障害と診断された。精神を安定させる薬を服薬したが、すぐには効果はなかった。
個人としての活動は停止した。ただ、年末には事務所の歌手が一堂にそろう北島ファミリーのディナーショーがあった。すでにポスターも刷られており、出ないわけにはいかなかった。
無理してマイクを握ったが、ひどい出来だった。ショーの後、北島三郎さんが「何も心配しなくていい」と頭をなでてくれたが、自分を責めて落ち込んだ。症状が悪化し、「人の目を見られなくなりました。人混みも怖くなったのです」。
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