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[男性の髪の悩み]薄毛、3割は思い込み

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専門クリニックが調査

頭髪の状態を確認する小林一広さん(東京都新宿区の城西クリニックで)

 夏の強い紫外線は頭皮にダメージを与え、抜け毛の原因になる。薄毛を気にする人には悩ましい季節だが、心労を募らせる前に自分にこう問うてみるのがよいらしい。「私は本当に薄毛なのか?」。頭髪治療専門クリニックの調査では、来院者の3割は頭髪に問題がなく、気に掛けすぎの「思い込み薄毛」だという。

 頭髪は、毛穴の奥にある毛球などで作られ、伸びていく。頭髪にも一生のサイクルがあり、正常な状態では2年から6年の成長期を経て毛球が退化し、脱毛する。毛が抜けた後、また同じ所から新しい髪の毛が伸びてくる。

 ところが、男性型脱毛症で、額の生え際や頭頂部の薄毛が目立つ人の場合、この部分の頭髪の成長期が極端に短く、1年未満で終わってしまう。すると、頭髪が太くなる前に抜け落ちるというサイクルが繰り返され、細く短い毛が増えて、頭髪の本数には変化がなくても薄く見えてしまう。

 薄毛には進行度を示す分類はあるが、明確な定義はない。それでも、額が以前より広くなったり、頭頂部の頭皮が目立ち始めたら、気になるのが「男心」というものだろう。全額自費であっても、医療機関で治療したくなる気持ちはよく分かる。だが、髪はフサフサなのに治療を受けたがる人が多いというのは、一体どういうことなのか。

 調査をまとめたのは、東京都新宿区の城西クリニック。薄毛を気にして新規に受診した男性(5年間で1万3000人)の28・9%が、治療の必要がない、太くて健康な頭髪(健常毛)だった。健常毛の受診者の割合を年代別に見ると、10代では62・4%、20代が41・5%で、若い人ほど思い込みが強かった。

 このような人たちは、父親が薄毛で、遺伝を過度に気にしたり、洗髪時に抜けた毛髪を排水口から拾い上げて1本1本数えたりするなど、強迫的な傾向が目立つという。

 また、抑うつ状態が見られる場合も多く、同クリニック院長で、精神科医でもある小林一広さんらが、頭髪治療の代わりに、カウンセリングや薬物治療など精神科治療を行うケースが少なくない。

 東京都の男子大学生は昨年、友人から冗談めかして「薄毛になるんじゃないか」と言われたことをきっかけに、他人の視線を過度に意識し始め、不登校に陥った。薄毛を治そうと同クリニックを受診したが、健常毛だった。小林さんは彼の強迫的な傾向を和らげるため、抗うつ薬などの薬物治療を行った。

 頭髪については、彼が頭頂部の状態を過度に気にしていたため、頭の両サイドを短く刈り、頭頂部のボリュームのなさを目立たなくする髪形にすることをアドバイスした。その結果、今は通学を再開できるまでになった。

 小林さんは「適切な精神科治療で、頭髪の悩みまで解消される人もいる。頭髪治療では心の問題にも目を向けることが欠かせない」と話す。(佐藤光展)

男性型脱毛症
 男性ホルモンの一種が髪の毛の細胞に悪影響を与え、額の髪の毛の生え際や、頭頂部で薄毛が目立ってくる。外用薬や内服薬を使った治療が行われる。男性型脱毛症は病気とされないため、治療は自費になる。
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