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山口デスクの「ヨミドク映画館」

yomiDr.記事アーカイブ

いざという時に便意をもよおすのは…。

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 いきなり汚い話で恐縮ですが、私はよく下痢をします。

 特にお酒を飲んだ翌日が多い。先週も、武道の稽古の帰りに生ビールの大ジョッキとホッピーセットを飲んだら、翌朝は3回トイレに行きました。

 おなかが弱い人って、みなさんの周りにも1人か2人いませんか?

 私の大学時代の友人は通学電車で頻繁に途中下車をしてトイレに駆け込んでいたし、会社の知り合いにも「俺、腹が弱くってさあ」とぼやいている男性がいました。

 本人にとっては笑い事ではありません。でも、このタイプの脇役が笑わせてくれる映画があります。

「シコふんじゃった。」の相撲部員も

 今から20年前の1992年に公開された「シコふんじゃった。」(監督・脚本=周防正行)。日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した有名な作品なので、観た方もきっと多いでしょう。

 本木雅弘さん扮する軟弱大学生の秋平が、ひょんなことから弱小相撲部に入部し、嫌々やっていた相撲に真剣に打ち込んで、同じく相撲初心者の仲間たちと大会に出場する、というお話。最初はまったくダメな人たちが努力に努力を重ね、最後は勝利を勝ち取る――スポーツ映画の王道ですね。

 この相撲部のただ一人の正規部員が、青木富夫という人物。相撲部を守るために留年し続けた大学8年生で、竹中直人さんが演じています。

 青木は、相撲を愛する思いはとても強いけど、緊張しやすいタイプで、なかなか勝てません。土俵に上がって「さあ、大事な一番」という場面で、緊張から必ず便意と腹痛に襲われ、トイレに駆け込んでしまうのです。

 この、便意をもよおした時の演技がもう絶品! 目を見開いて表情をこわばらせ、短い奇声を発しながら体をクネクネと動かす。こうしたコミカルな演技をやらせたら、竹中さんの右に出る役者はいないのではないでしょうか。

診察受ければ、「過敏性腸症候群」と診断のはず

 さて、もし青木富夫が医師の診察を受けたとすると、ほぼ間違いなく「過敏性腸症候群」と診断されるはずです。

 下痢や便秘など便通の異常に、腹痛やおなかの張りなど不快な症状を繰り返す病気。検査をしても腸に異常は見つからず、下痢型、便秘型、混合型など様々なタイプがあるので、「症候群」と呼ぶわけです。原因ははっきりとは分かっていませんが、ストレスや不安、緊張などが関係していると考えられています。腸と脳は互いに影響し合っているのです(「腸脳相関」と言います)。

 治療薬もあるので、深刻な人は内科を受診するといいでしょう。消化器内科のほか、心療内科でも診察します。

 ちなみに、検査をしても異常がないのに、胃痛や胃のもたれ、吐き気など、胃を中心とした上腹部の症状が現れる病気を「機能性胃腸症」(機能性ディスペプシア)と呼びます。

受診の判断…日常生活で困っているかどうか

 では、よくおなかをくだす私が医療機関を受診したことがあるのかというと、実はありません。

 私の場合、便が軟らかいのが普通で、水分をたくさん取ると下痢をします。でも、青木富夫のように「いざという時」に腹痛に襲われることはありません。日常生活で困ってはいないのです。

 何らかの症状があっても、命にかかわることがなく、生活に支障がなければ、病気と考える必要はありません。

 たとえば、嫌なことがあって一時的に落ち込んだり、やる気がなくなったりしても、それはよくある普通のこと。でも、この状態が長引いて生活に支障が出ると、「うつ病」と診断されます。これと同じですね。

 今回、ブログを書くため「シコふんじゃった。」のDVDを改めて借りて観たら、特典映像の中に竹中直人さんのインタビューが入っていました。彼自身、(たしか)小学生の時、授業中に腹痛に襲われて困ったことがあったそうです。

 インタビューではその時の様子を再現していました。

 痛みと便意の第一波が襲ってきて、苦悶の表情。やがて痛みが治まって安心し、先生の話を聞いて笑う。しかし、再び第二波が襲ってくる。笑顔が急に曇り、目を見開き、体をくねらせて…。

 そうそう、我慢している時って、痛みと便意に波があるんですよね。笑いながらも、「あるある!」と激しくうなずいてしまいました。


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山口デスクの「ヨミドク映画館」_顔87

山口博弥(やまぐち ひろや)

読売新聞医療部デスク

1987年 早稲田大学法学部卒、読売新聞入社

地方部、社会部などを経て1997年から医療情報室(現・医療部)。

趣味は武道。好きな映画は泣けるヒューマンドラマとアクションもの。

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7件 のコメント

女性も

ごろごろ

男性は下痢、女性は便秘が多いと言いますが、私もゆるくなりがちなタイプです。ある意味、便秘よりつらいと思います!!周囲の男性も、過敏性腸症候群っぽ...

男性は下痢、女性は便秘が多いと言いますが、私もゆるくなりがちなタイプです。
ある意味、便秘よりつらいと思います!!
周囲の男性も、過敏性腸症候群っぽい人が多いです。
今は、いいお薬もあるみたいですね。

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ヨーグルトでも

あきら

突然の投稿で恐縮です。私は外資系のヨーグルトメーカーに勤めているものです。ヨーグルトを続けて食べることで、過敏性腸症候群の症状が緩和されたという...

突然の投稿で恐縮です。
私は外資系のヨーグルトメーカーに勤めているものです。
ヨーグルトを続けて食べることで、過敏性腸症候群の症状が緩和されたという論文があります。
もっともこちらは海外の研究で、対象者は便秘型のIBSだったので貴兄の場合とは違うのですが。。。
いずれにしても、腸内菌叢を安定させることが助けになるのではないかと思います。

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いろいろ

山口博弥(記者)

[ぷかぷか]さま 私も、口で溶ける下痢止めの錠剤を、かばんの中にいつも入れています。年に1、2回ぐらいしか使っていませんが、あれは助かります。効...

[ぷかぷか]さま

 私も、口で溶ける下痢止めの錠剤を、かばんの中にいつも入れています。年に1、2回ぐらいしか使っていませんが、あれは助かります。効かずに結局、途中下車したこともありますけど。

[寺田次郎]さま

 たしかに、よく下痢をしていると、悪い物を食べておなかを壊したとしても、それが原因なのかどうか分からないという問題点がありますね。
 とりあえず、私は食事と運動など健康管理には気を付けていて、健康診断の結果も良好です。

[タッチオジサンⅡ]さま

 典型的な過敏性腸症候群のようですね。すごく大変そうです。
 呼吸法などでストレスをコントロールする技術を身に着けると、症状が軽減されると聞いたことがありますよ。

[日本はすごい]さま

 そうなんです。私も「いつでもどこでもできる」という安心感があるからこそ、生活に支障がないと言えるのだと思います。職場にも駅にもトイレがなかったら、私の症状も「病気」と言えるのでしょうね。

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