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今こそ考えよう 高齢者の終末期医療

yomiDr.記事アーカイブ

20年かけて減らした「経管栄養」

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訪問したスウェーデンのグループホーム(後列左が筆者、右がタークマン医師、前列左が職員、中央は96歳の誕生日を迎えた入所者、右は入所者の娘)

 2007年にスウェーデンの認知症の施設と病院を見学しました。その時、案内してくれた老年科のタークマン先生が「スウェーデンでは、高齢者が物を食べなくなった場合、点滴や経管栄養をしません。食べるだけ飲めるだけですが、安らかに亡くなります。私の父もそうして亡くなりましたが、前日まで話すことができて穏やかな最期でした」と教えてくれました。

 点滴もしないことに私が驚くと、「ベッドの上で、点滴で生きている人生なんて何の意味があるの?」と言いました。そして、「ここまで来るのに20年かかった」としみじみ言っていました。

 オーストラリアの施設も、十数年前は経管栄養の高齢者であふれていたそうですが、現在は点滴も経管栄養も行いません。オランダの施設も同様で、「倫理」のために行わないと職員が明言していました。欧米では、食べられなくなっても点滴や経管栄養のために入院することはありません。施設入所者はそこで自然に看取られます。

 一方、我が国では高齢者が終末期になって物が食べられなくなると、入院して高カロリーの点滴や経管栄養を行うことが多いです。その時は寝たきりで、家族の顔もわからず、話すこともできません。点滴や経管栄養で生かされる意味を考える必要があると思います。(宮本礼子)

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201206終末期ブログ_サブナビ

宮本顕二、宮本礼子

宮本顕二(みやもと けんじ)
1976年、北海道大学医学部医学科卒業
北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野教授

宮本礼子(みやもと れいこ)
1979年旭川医科大学卒業
桜台江仁会病院(札幌市)認知症総合支援センター長

ブログは2人が交代しながら書いていきます。

別コラムはこちら

宮本礼子・顕二「高齢者の終末期医療はよくなったのか」

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4件 のコメント

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かかりつけ医がいないと警官が来る?

人生それぞれ

  穏やかな大往生をとげたのに警官が来た、とのykks3さんのコメントですが、手続きと思って、あまり気にしないほうが良いです。  かかりつけでな...

  穏やかな大往生をとげたのに警官が来た、とのykks3さんのコメントですが、手続きと思って、あまり気にしないほうが良いです。
  かかりつけでない方の死亡を確かめるために呼ばれたとき、町医者は、死亡宣告をしたあと、法律に基づいて行動します。診たことのない患者には「死亡診断書」は書けず「死体検案書」になり、他殺の可能性が少しでもあれば、いちおう警察に通報する義務があります。警官が来ても、事件性がなければ、すぐ去ります。
  町医者でなく、救急車を呼ぶのでもかまいませんが、亡くなってすぐだと蘇生処置(AED、心臓マッサージなど)をされてしまいます。それを防ぐには、「蘇生処置はしないでください」という文書を、元気なときから用意しておくしかありません。(自分で作成して、家族に保管場所をよく話しておきましょう)
  認知症の方の場合、家族だけで介護して医者にみせないでいると、「高齢者虐待」の疑いも抱かれてしまうので、やはり、かかりつけ医を持っておくしかないでしょう、医者嫌いでも。かかりつけ医には、患者本人が認知症になる前にどのような医療観を持っていたかを伝え、無駄な延命医療は希望しないとう「事前指示書」を提出すれば、(日本では尊厳死法などの法律はありませんので絶対ではありませんが)それに沿って、大往生を助けてくれるのではないでしょうか(そういう在宅訪問医を選びましょう)。

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家族。本人の承諾なく胃ろう

会食家族

開けられた胃ろうの穴を巡って、考えの食い違いに苦労しています。希望しない胃ろうのため、大たい骨接合手術後本人が一番嫌う胃ろうをされた父。免疫不全...

開けられた胃ろうの穴を巡って、考えの食い違いに苦労しています。
希望しない胃ろうのため、大たい骨接合手術後本人が一番嫌う胃ろうをされた父。
免疫不全という名の栄養失調  その考えに群がる医療 空いた穴のため受け入れてもらえない。
歩行リハビリ 誤嚥が怖いと水を欲しがる父に 水ひとつ与えない 飲みたい食べたい その欲を
満たすために 口腔内ケアに人一倍気を使っていた父が icu という名の監禁櫃から出たときは
 たんをとって 口が汚れたという 訴えも無視 食事をしないから洗面もしない 患者に触らない。
尿も管を入れっぱなし 排便がしたい おしっこが出そうだからの 訴えも 無視ベットに括り付け
線でつないだデーターを監視してるだけ 患者を診ない医療は まっぴら。
でも、空いた胃ろうの事実が それを推奨しない医療を受けることができない 紹介状という名の
考えの固定された人たちの渦から抜けられない 空いた穴 家族にはとってあげられない壁。
死ぬよ  の一言は選択の余地がない。。。。手立てがなくなった。
水を飲ませたい 娘の願い。
待てよ   父は、骨折して整形外科に入院しただけなのに 違うことでこの2か月戦っている。

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穏やかな最期

ykks3

 おそらくもう30年近くも前の話です。私の祖父が亡くなった時、とても静かな最期だったとの事でした(←これは、私の母より)。眠った状態だ...

 おそらくもう30年近くも前の話です。私の祖父が亡くなった時、とても静かな最期だったとの事でした(←これは、私の母より)。眠った状態だったとの事でした。

 しかし、まもなく医師が来て「何年も医師に掛かっていない」とかの理由で、次には、警察官がやって来たとか!?

 穏やかな最期であって欲しいと、家族は思います。が、今の時代、必ず「法」が介入しますし、私の様な素人は、恐ろしくて、何も言う事は出来ません。

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