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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

ベビーカー 電車では畳むべき?

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 梅雨が明けて暑い日が続きますね。猛暑の夏は、私が最も恐れていた季節です。赤ちゃんは汗を大量にかくので汗疹や湿疹で肌状態は良くないし、脱水や熱中症などになっていないか体調管理に気を使います。

 母乳だとどのくらいの量を飲んでいるか分からないので、子ども用の麦茶を持ち歩いていますが、あまり「くいつき」がよくありません。ものを言わないので状態の把握が難しく、子育て一年生としてはいろいろと不安です。

 日が照っている時間はアスファルトがやけどするくらい熱くなっているので、ベビーカーだとこちらの体感温度よりも子供は暑いのではないかと思い、なるべく抱っこひもで出かけるようにしています。抱っこだと私の体と密着するのでお互い暑いとも思うのですが、顔が見えるので観察しやすいし、子供の背中のポケットに保冷剤を入れたりして調節しています。

 ただ、荷物が多い時は全体がかさばるし、肩が抜けそうになります。また、トートバッグに入れた携帯電話を探すだけでも一苦労。抱っこひもで子供と荷物を抱えて外出する時は、顔から必死感がにじみ出ているのか、電車でよく席を譲っていただきます。とてもありがたいことです。現代社会は子連れに冷たいとよく言われますが、実際に子連れで出かけると優しくしてもらえることも多いです。

「畳むのが当然」に驚き

 インターネットの掲示板やツイッターで、よく子育てのマナーについて議論になっているのを見かけます。外食や電車内でのマナーに関するものが多いようです。よく見かけるのが、ベビーカーで電車に乗る時のマナーについてです。畳むべきかどうかが議論の的になっているのを見かけるのですが、ある有名掲示板では「迷惑にならないように畳むのが当然」ということになっているようです。

 しかし、自分しか大人がいない場合、まずベビーカーが反り返らないようにかけてある荷物を肩にかけ、子供を抱っこし、ベビーカーを畳むことになるのですが、私の使っている機種のベビーカーではその動作を大人一人で行うのは非常に困難であり、子供の腹部を抱きつぶしてしまいそうになるのです。私は混雑時には基本的に電車に乗らないこともあり、今までずっと畳まずにそのまま乗車していましたし、車内でみかける子連れの人たちもみんなそのままだったので、その掲示板で畳むのが常識とされていたことに驚きと焦りを感じました。

昔と今で違うマナー

 調べてみたところ、昔はベビーカーを畳んで乗るのが鉄道各社の決めたマナーとされていたそうなのですが、今では多くの会社が、赤ちゃんの安全性から、混雑していない時は畳まなくてよいとしているようです。

 それをツイッターでつぶやいたところ、子育て中の皆さんは賛同の反応でしたが、若い女性と思われる方で「今は畳まなくてよくなったんですね、昔のお母さんは頑張っていたのです」とコメントされた方がいました。

 非混雑時にベビーカーを畳まずに乗るのは今の規則に則った行為であり、「ベビーカーを畳まない=怠惰」「今のお母さんは頑張っていない」ということではないと思うのですけれどね。また、子育てを終了されたと思われる方で「ベビーカーは邪魔でしかありません!今の母親は優遇され過ぎ」というご意見の方もおられました。子育て中の人とそうでない人の意見の相違が目立っていたのです。

今の世代は優遇されすぎか

 昔(十数年前から数十年前)はベビーカーが普及していなかったり、今ほどバリアフリーでなかったりしたため、移動が大変だったのだと思います。また、今は少子化が社会問題となり、子育て支援や父親の育児参加を推進する声もありますが、一昔前は今よりももっと母親に子育ての全てが押しつけられ、父親はそれを当然と思っていたのかも知れません。

 そんな訳で子育てを終えた世代の中に、今の子育て世代を優遇されていると感じ、快く思わない人がいるのかも知れません。また、身近に小さな子供がいない人は子供という存在に免疫が無く、厳しい見方をする人が多いのかもしれません。

身動き取れない時も

 
温泉旅行に行って伊豆の海を眺める娘です。

 人は自分の主観を通してしかものを見ることができません。子育て中の人もそれを批判する人も、他の立場を思いやる余裕がなければ堂々巡りの議論になってしまうと思います。また今の世の中は、楽しげで余裕ありげな人の揚げ足を取る傾向にあり、「親なんだから我慢しろ、楽をするな」という意見も根強くあります。

 私自身は、なるべく迷惑はかけたくないと思い、子連れOKのお店以外は行かないし、公共の場でも気を使っているつもりです。

 でも、必要に迫られて移動していて身動きが取れない時に、大きな声で泣き出して、すぐには泣きやまない場合もあります。普段は育児を楽しいと思っていても、そんな時は思考が停止して余裕を失ってしまいます。しかし、その時に周りから見ればマナーを守っていない非常識な母親と思われているかもしれません。マナーを守らない親がいるから子連れに対して冷たい目線が直らない、とよく言われますが、とにかく必死で余裕がない親も多いと思います。

鈍感になろうよ

 自分で子供を産んでみて、こんな幸せがあったんだ、と日々感じている私としては、子供を欲しいと思っている人が「子育てで迷惑をかけたくない」「大変そう」と子供を産むのを躊躇してしまうのは悲しいことだと思います。

 子供のいる人もいない人も、もっと心に余裕が持てればいいのですが。全体の余裕が増えないなら、人にかける迷惑とかけられる迷惑の両方にもう少し鈍感になってみるというのはいかがでしょうか。他人に迷惑をかけないで生きている人はいないのですから。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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62件 のコメント

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状況によるのだろうが…

TY

帰宅ラッシュの時間帯にディズニーからの乗車されるのは 逆に赤ちゃんに負担かかるから そこはむしろ母親として考えてあげようよ?って思うことがあるな...

帰宅ラッシュの時間帯にディズニーからの乗車されるのは 逆に赤ちゃんに負担かかるから そこはむしろ母親として考えてあげようよ?って思うことがあるな?
親が楽しむために子供が犠牲になってるのは本末転倒な気がする…

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ケースバイケース

普段電車とバスを使っている学生です。

お母さんだって人間です、疲れている時もあれば面倒くさくなる時もあるかもしれない。三人目の子育てとかなら馴れてるかもしれないですが、一人目なら何で...

お母さんだって人間です、疲れている時もあれば面倒くさくなる時もあるかもしれない。三人目の子育てとかなら馴れてるかもしれないですが、一人目なら何でもテキパキこなすのとはできないでしょう。ましてや双子のお母さんはすごく大変そうです。お母さんばかりに視点がいきがちですが、大切なのは周りの温かい目と手伝いを申し出る勇気だと思います。
自分の尺に触るようなことがあったなら、お母さん達は多少敏感になり、周りは鈍感になる。べきだと思います。
論点がかなりズレてしまいますがそもそもこんな議論が起こることが不思議です、車椅子の人にも邪魔だから畳めと言いますか? 杖をついて歩いてる人に急げと言いますか? 
言葉が良くないかもしれませんが “生活弱者”なのだから全て大目に見てあげるべきではないでしょうか? 勿論それに甘んじるのも良くないですが。 譲り合い助け合いが日本の良い所だと思います。不況、少子化や騒音が問題になる中勇気を持って日本の未来のために子供を育ててくれてる全ての関係者お母さん、先生、運転手さん、、、などなどに感謝

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畳む必要なし

あきとまなりりよ

私は40代の男性で、3児の父です。 まず日本はとくに子育て世代に厳しい環境です。経済的な支援は少なく、世間も非協力的。そりゃ少子化なりますよ。 ...

私は40代の男性で、3児の父です。
まず日本はとくに子育て世代に厳しい環境です。経済的な支援は少なく、世間も非協力的。そりゃ少子化なりますよ。

本題のベビーカーですが、赤ちゃんの安全の為にもベビーカーは畳めません。
ケチをつける方は一度試してみて下さい。荷物を持って、赤ちゃん抱いて、ベビーカー畳んで持つ。
そのあと乗り降りに誰かベビーカーでも持ってくれますか?
乗り込んだ後は誰かが必ず席を譲ってくれますか?
しかも赤ちゃんの荷物には、着替え一式、オムツにオシリ拭き、ミルクに哺乳瓶、お茶、お菓子、オモチャ、保険証や診察券などかあり、そしてようやく親の荷物が加わるんです。これは相当な量になります。

ベビーカーを畳まない場合、急制動などで人がそこに倒れ覆いかぶさったら危険だとか言う方もいますが、それは赤ちゃんを抱っこしていても、人が倒れてきたら危ないでしょう。むしろ抱っこの方が手も空かないゆえ、つり革も持ちづらく、高さも加わり危険です。

一部の親の非常識な子育ての態度への批判の論点がすり変わり、ベビーカーが悪だと決めつけてないですか?
道路を歩いていると、ベビーカーに邪魔されるより、むしろ自転車の方が絶対数も多いからか邪魔される機会が多いでしょ。
では自転車は悪ではないのですか?

電車では、スーツケースや大きなバックが足元にあると邪魔でしょ。それとベビーカーの何が違うのですか?
大変失礼な事を書きますが、車椅子の方との差は何なんですか?彼らにも畳むよう指導するのですか?

子供は日本にとって宝なんです。気持ちよく育てる環境が作られ、伸び伸びと子供が大人になっていく、そしてまた子供を産み育てる、そういう国になって欲しいものです。

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