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注目集める「健康寿命」

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「生活の質」維持するため

 いつまでも元気で長生きしたい――。それは誰もの願いです。日本は平均寿命が世界トップレベルの長寿大国ですが、長寿者には認知症や寝たきりなど、日常生活に支障のある人も含まれています。こうした中、いま「健康寿命」という言葉が注目を集めています。

国の目標に

 ――健康寿命とはどのようなものですか。

 「一生のうち、健康で支障なく日常の生活を送れる期間のことです。厚生労働省によると、2010年の健康寿命の平均は男性が70・42歳、女性が73・62歳でした。政府は国民の健康指標『健康日本21』を00年に作っていますが、健康寿命は次の改訂版(13年)に新たな目標として盛り込まれます」

 「そもそも健康寿命は世界保健機関(WHO)が2000年に示した考え方です。現行の『健康日本21』にも言葉は出てきます。ただ、それは『健康寿命の延伸』という漠然としたものでした。厚労省は今回、独自の算定基準に基づき、都道府県別も含めた数値とそれに合わせた具体的な目標として定めました」

 ――なぜ健康寿命が重要なのですか。

 「健康な期間が長くなれば本人にとって幸福ですし、負担となる介護や医療の費用も抑えることができるからです。生存期間を示す平均寿命(10年)は男性79・55歳、女性86・30歳。健康寿命と比べると、男性は9・13年、女性は12・68年の差があります。この間は日常生活に差し障りのある『不健康な期間』というわけです」

 「平均寿命は医学の進歩などにより延び続けています。それ自体は大変喜ばしいことですが、両者の差の拡大は、寝たきりや認知症といった元気とは言えない不健康な期間が延びることを意味します。それでは生活の質が低下しますし、支える家族も大変です」

習慣を改善

 ――健康寿命を延ばすにはどうすればいいのですか。

 「例えば高血圧や糖尿病など生活習慣病が発症しないようにすること。そのためにはバランスのよい食生活や適度な運動、十分に休息をとり、たばこやお酒を控えめにするなど、生活習慣を整えることが大切です」

地域で格差

 ――都道府県によって差があるのですね。

 「男性で健康寿命が最も長いのは愛知(71・74歳)でした。最も低かった青森(68・95歳)と比べると、2・79年の差があります。女性のトップは静岡(75・32歳)で、最下位は滋賀(72・37歳)。2・95年の差がありました」

 ――健康寿命が高い地域の特徴はあるのですか。

 「男女を通じ、最も健康寿命が高かったのは静岡です。同県の担当者になぜそうなったのか聞くと『元気に働く高齢者が多いこと、温暖な気候からくる穏やかな県民性があること、魚や野菜、コメなど地場の食材が豊富で、食生活が豊かであること、全国一のお茶の産地で、若者から高齢者まで、誰もがいつもお茶をたくさん飲んでいること』などをあげました。お茶に含まれるカテキンはコレステロールを下げる効果があるとされています」

 「高齢化社会を迎えたわが国にとって、国民が元気で長生きできる健康寿命を延ばすことは、大事な課題です。もっとも、国が施策目標を提示するだけではそれは実現しません。国民一人ひとりの健康への関心や日頃の心がけも大切です。それぞれの豊かな老後に結びつくのですから」(加納昭彦)

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