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医療ルネサンス高岡フォーラム 「健康長寿のための生活習慣、心の持ち方」

イベント・フォーラム

基調講演(1)足を折ったが、めげない…鎌田實さん

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 「健康寿命を考える」をテーマに「医療ルネサンス高岡フォーラム」(読売新聞社主催、富山県、高岡市、富山県医師会、高岡市医師会後援)が6月15日、富山県高岡市の県高岡文化ホールで開かれ、約700人が参加しました。諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長の鎌田實さんが、「健康長寿のための生活習慣、心の持ち方」と題して基調講演。その後、鎌田さんと南砂(みなみ・まさご)・読売新聞東京本社医療情報部長が対談し、食生活や運動の重要性などについて話し合いました。

 フォーラムの詳しい内容をご紹介します。最初に、鎌田さんの基調講演です。

諏訪中央病院名誉院長 鎌田實(かまた・みのる)
 1948年東京都生まれ。74年東京医科歯科大医学部卒。諏訪中央病院に赴任し、地域と一体になった医療、患者本位の医療を進めた。チェルノブイリ原発事故の被災地に医師団を派遣したり、戦争で傷ついたイラクの子供たちに医薬品を送ったりするなどの活動を続け、東日本大震災でも被災地支援に取り組む。
 2006年、読売国際協力賞を、鎌田さんが理事長のチェルノブイリ連帯基金が受賞、11年NHK放送文化賞受賞。
 著書はベストセラー「がんばらない」(集英社)など多数。近刊に「『がんばらない』を生きる」(中央公論新社)がある。

 昨年3月に東日本大震災に続いて、東京電力福島第一原子力事故が起きてから、時間があると、福島県に被災者支援に出かけていました。また、今年2月にはイラクに支援に入り、3月にはチェルノブイリに行きました。この間ずっと息つく暇もない生活をしていたので、久しぶりに今年3月23日、スキーをしに出かけました。

 僕の健康法はスキーです。スキーは結構うまいんですが、その日、急斜面を滑り終わって、平らなところで、雪の塊に足を取られて転んでしまいました。左側の板はすぐに外れましたが、右の板は外れず、板がついたまま体が回転して、腓骨(ひこつ)を骨折してしまいました。膝の下に2本の長い骨がありますが、細い方が腓骨です。ケガから3か月近くたち、ようやくつえをつかずに歩けるようになりました。

 僕は「日曜はがんばらない」(文化放送)というラジオのレギュラー番組を持っています。元宝塚トップスターの安奈淳さんをこの番組のゲストに招こうとして、4月の初めに電話しました。「実は、腓骨骨折を起こしちゃったんです」。こう言ったら、「どうしてそんなところを骨折するのよ」って言うんですね。

 僕は滑舌がちょっと悪いもんで、安奈さんは「恥骨骨折」と聞こえたんですね。恥骨というのは、男ならおちんちんの裏側、骨盤の前側の部分です。

 「どうしてそんなところを骨折するのよ」って、安奈さんは言うので、「恥骨じゃなくて、腓骨、脚の骨ですよ」と言うと、「あ、それはよかったわね」って。ちっともよくありませんよね。(笑い)

 僕には子供が2人います。男の子と女の子。両方とも所帯を持っていて、孫が3人います。この2人の子供が僕の性格をよく知っていて、絶対に僕はスキーをやめない、今度の冬の前に、きっと新しいスキーの板を注文すると思ったっていうんですね。

 僕がそういう事故にあったときにどう考えるかというと、スキーの板が悪かったからじゃないか、板をかえればもう転ばないんじゃないか、僕はそういうふうに考えると、子供たちは予想したって言うんですね。絶対におやじはスキーの板を注文するぞって。スキーの板のせいにしちゃうと。

 その通り、子供たちの予想は正解です。足の手術後、すぐに娘の夫に、ニューモデルの板を注文してもらいました。ケガの原因を、スキーの板のせいにしちゃうという考え方は、生きていく上で、結構大事なコツですよ。ケガをしたからもうスキーをやめようと思ったりすると、だんだん、生き方が後ろ向きになってしまい、心身の老化にもつながります。

 僕は1か月前にも、奥さんに車椅子を押してもらって富山に講演に来ました。全然めげてないですよ。逆に、腓骨を折ったお陰で、車椅子で生活するということがどういうことか勉強できると、前向きに考えています。(続く)

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