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今こそ考えよう 高齢者の終末期医療

yomiDr.記事アーカイブ

胃ろうも点滴もしないで、苦しくないのか

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メルボルン(オーストラリア)にあるカリタス•クリスティン•ホスピス病院にて(右から看護師、担当医師、筆者ら)。

 終末期の高齢者に胃ろうも点滴もせずに看取る国があるという話をすると、きまって「餓死させるのか」「飢えや脱水で、苦しんで死ぬのでは」といった質問が返ってきます。

 お腹がすいて苦しいのが“飢え”で、飢えで死んでいくのが“餓死”です。空腹を強く感じるからこそ苦しいのです。終末期の高齢者は食欲がほとんどありません。胃腸も弱り、食べ物も受け付けません。かりに何か食べたいとしても、ほんの少し食べ物を口にするだけで満足します。つまり“飢え“や“餓死”ではありません。

 また、“口渇”を訴えるときは、少量の水や氷を口に含ませてあげるだけで喉の渇きが癒せます。点滴では喉の渇きを癒せません。

 日本にも自然な看取りをしている老人介護施設があります。「皆さん眠るようにして亡くなられます」と言います。私達が訪れた欧米やオーストラリアの施設でも同じ答えが返ってきました。

 胃ろうも点滴もしないで、眠るように安らかに亡くなる、という事実を裏付ける研究があります。動物を脱水や飢餓状態にすると脳内麻薬であるβエンドルフィンやケトン体が増えます。これらには鎮痛•鎮静作用があります。自然な看取りで亡くなった方にも同じ事が起こっているはずです。

患者の快適さを重視

 患者の尊厳とQOL(生活の質)を考えると、終末期の高齢者に胃ろうを作ったり、点滴をしてまで延命を図ることは非倫理的との考えが、私達の訪れた国では一般的でした。延命医療よりも、いかにして患者を快適にできるのか、という緩和医療に重きが置かれていました。

 わが国では「何もしないなんて、かわいそう」「餓死させられない」「1日でも長く生きていて欲しい」といった、遺される家族の想いばかりが優先され、患者の気持ちを推し量り、どうしたら患者の満足感や幸福感を高め、身体を快適な状態にできるのか、という緩和の考えが後回しにされてきたのではないでしょうか。(宮本顕二)

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201206終末期ブログ_サブナビ

宮本顕二、宮本礼子

宮本顕二(みやもと けんじ)
1976年、北海道大学医学部医学科卒業
北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野教授

宮本礼子(みやもと れいこ)
1979年旭川医科大学卒業
桜台江仁会病院(札幌市)認知症総合支援センター長

ブログは2人が交代しながら書いていきます。

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21件 のコメント

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認知症になっても最後まで人として

あおぞら

グループホームで管理者をさせて頂いてます。まさしく今人生の振り返りをしながら終末を迎えようとされてる87さいのおばあちゃまがいらっしゃいます。 ...

グループホームで管理者をさせて頂いてます。まさしく今人生の振り返りをしながら終末を迎えようとされてる87さいのおばあちゃまがいらっしゃいます。

今まで沢山の利用者様の最後に関わらせて頂きました。確かに状況により必要な医療も有ります。ただグループホームでその人に常に寄り添い一緒に笑って泣いて…ずーっと過ごしていたのに食べられなくなって入院して点滴、色々な体の機能が低下してるのにもかかわらず利尿剤、昇圧剤等、結局は多機臓不全で手、足、あげくは顔までパンパンに腫れて…(もちろん認知症ですから拘束もされてます)そんな最後は決して誰ものぞんでません。病院は治療をする所ですから手を施すのは当たり前なのですが。

もう堪忍です。認知症であってもその人の想いを大切にしてしっかり最後まで向きあい家族様と共に旅立ちのお手伝いをさせて頂いくとスタッフ一丸となりました。2日間ほとんど食べてなく水分も1日200の時もあらましたがお正月のすき焼きの匂いに「食べさせてー」二口食べてくださいました。その人が生きようとする姿です。拍手喝采です。

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胃ろうにしてまで長生きしたくない

ふじちゃん

肺炎そして肺結核、88才の母、指定病院で抗生剤三種類を口からクダで栄養剤も含めて投与中、手は拘束、やせ細りガリガリ、いつでも目はつむっている。耳...

肺炎そして肺結核、88才の母、指定病院で抗生剤三種類を口からクダで栄養剤も含めて投与中、手は拘束、やせ細りガリガリ、いつでも目はつむっている。耳はきこえているようだ。

意識はあるようだが、殺して~死なせて~苦しい~などとつぶやいている。

口腔ブラシとオムツは自費。あとはタダ。結核菌検査で菌がでなければ退院らしいが、クダは抜くらしい。

おかゆも食えないし、家に連れていっても寝たきりのままだと思う。今は病院で皆様がついているので、オムツ交換とか栄養剤などのことも感謝していますが、菌がでなくなったら退院は間違いなく、途方にくれています。

寝たきりの母を家で介護はできませんし、リースの介護ベッドは会社に返却してしまったし、これまでもいろいろやってきました。

何もかも犠牲にして母に尽くしてきました。菌がでなくなったら退院。嬉しいのか悲しいのか、死にたいのは本人なのか家族なのか、胃ろうにすれば長生きできるし受け入れするところがあるらしいです。本人が胃に穴あけてくれ~栄養剤流してくれ~と言うのでしょうか。

家族が先生にお願いしますと言うのでしょうか。本人も言わないし家族も言いません。でも、親戚が延命処置しない家族を白い目でみることは想像できます。どちらになっても本人も家族も浮かばれませんが、時間は刻々と過ぎていきます。菌がでますようにと祈るのはアホだと思います。私はアホでもかまわない。身も心もボロボロだし。失うものは何もない。昔、丈夫なころ母と食べた天ぷらそばをもう一度、母に食べさせたい。それから旅たってほしい、それだけです。

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病院で自然死は?

ひまわり

 今の医療制度で病院での看とりは不可能です。国は、医療費の節減に向いています。緩和ケアを受けられる方も希望者全員というわけではありません。差額ベ...

 今の医療制度で病院での看とりは不可能です。国は、医療費の節減に向いています。緩和ケアを受けられる方も希望者全員というわけではありません。差額ベットその他経済的に恵まれた方のみが現状です。どうしても、病院で自然死を迎えさせたいならば、健康保険を使わず、自由診療なら
可能でしょう。しかし、モラル的にはどうでしょうか?限りあるベッドを医療不要の方が使うと、
本当に医療を必要とする人が入院できないわけです。高齢化に向かい、看とり施設・・・と安易に考えるのではなく、国民的に議論していかないと、解決できないですよね。

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