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認知症 明日へ

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[どんな症状?]「意欲低下」、初期のサイン

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 認知症というと、物忘れが激しくなったり、道に迷ったりする印象が強いが、意欲が低下し、不安感が強くなるなどの症状が表れることも多い。適切な治療やケアにつなげるには、こうした見落とされがちな初期症状に周囲が気づくことが大切だ。

「強い不安感」も、早めにケア

意欲低下の症状改善には、デイサービスに通うなどして活動性を上げることも効果的だ(東京都内で)

 「夫は外出から戻るとすぐ横になるし、昼間でもウトウトすることが増えていました。疲れのせいかと思っていたけど、まさか認知症の症状だったなんて」。熊本市に住む男性(87)の妻(83)は、そう振り返る。

 男性は、現役時代は仕事熱心で、引退後は地域活動にも取り組んでいた。それが3年余り前から、家の中でゴロゴロして過ごすように。おしゃれに気を配るほうだったのに、服の前後を間違えたりボタンを掛け違えたりすることもあった。

 軽い物忘れの症状も見られたため、家族に連れられて2009年5月に精神科を受診。MRI(磁気共鳴画像)検査で小さな脳梗塞の跡が見つかり、脳機能検査などから脳血管性認知症と診断された。

 「物忘れや徘徊(はいかい)などが認知症の症状としてよく知られているが、むしろ初期には意欲低下が多くの人に見られる」と、男性の主治医で熊本大の池田学教授(神経精神科)は指摘する。同大の調査では、初期の脳血管性認知症では約70%に、アルツハイマー型認知症など他のタイプでも50%以上の人に見られた。

 意欲低下は、初めは日常生活に大きな影響がなく、家族の負担も少ないために気づきにくい。だが、放っておくと、動かないため体力が低下し、ますます意欲を失って悪循環に陥り、認知症が重度化しやすい。一方で、早い段階からデイサービスを利用するなどして活動性を上げれば、症状が改善することも多い。

 この男性の場合、初めはデイサービスに通うのを嫌がっていたが、家族が根気よく促して、週3回、好きな絵を描いたり習字をしたりして過ごすように。通わない日も、妻が買い物や展覧会に連れ出して生活のリズムを作ったことで、表情も豊かになり、自分で着替えられるようになった。

 池田教授は「初期に表れる目立たない症状を見逃さず、適切なケアに結びつけることが重要だ」と強調する。

 東京都大田区の女性(76)の場合は、不安感が強く表れた。昨年秋、夫が転倒して入院すると、暗い表情で「私に面倒を見られるかしら」と、今後の生活を心配する言葉を繰り返した。商売をして気丈な性格だったのに、夫と離れているのも不安な様子で、1日2回も病院に通うこともあった。そのうち、何日も入浴しなくなったり、料理の味付けを間違えたりするようになった。脳神経外科を受診し、アルツハイマー型認知症だと診断された。近くに住む長男の妻(48)は「義母が不安がって、毎日、病院に通うのは意外でしたが、それが認知症の症状だったとは」と話す。

 こうした見落とされがちな症状も含め、認知症の始まりではないかと思われる変化を、「認知症の人と家族の会」(京都市)が「早期発見のめやす」としてまとめ、ホームページなどで公開している。同会の小川正事務局長は「医学的な診断基準ではないが、会員家族の経験からまとめた。日々の暮らしの中で、『もしかしたら』と思った時の参考になればいい。幾つか思い当たる節があれば、受診するなどして早期診断につなげてほしい」と話している。(本田麻由美、飯田祐子)

「認知症の人と家族の会」が作成した「早期発見のめやす」は、同会のホームページ(http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2196)で見ることができる。認知症に関する電話相談も、(電)0120・294・456(月~金、午前10時~午後3時)で受け付けている。
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