海原純子のハート通信
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HPVワクチン接種後も定期的に検診受けて
2012年6月22日号のBMJ(British medical journal)の記事で子宮頸がんワクチン導入前のヒトパピローマウイルス(HPV)感染状況のコホート研究が発表されました。
コホート研究の「コホート」とは、もともとはラテン語ですが、医学では「ある時期に同じような環境にいた人たち」という意味で使われます。コホート研究では、ある病気の要因、原因と推測される状況にいる人が、この病気にかかるかどうかを調べる研究です。
今回の報告は、イギリスの女性(16~27歳までの平均年齢21歳)の2185人を調べたものです。それによると、HPV感染の有病率は2185人中404人で18・5%だった。
パートナーが複数の場合、クラミジア感染やそのほかの細菌性の性行為感染症にかかっている場合は、よりHPV感染のリスクが高くなっていたということです。また、がんとの関係が明らかなHPV以外の型にも感染している女性が17・7%見つかり、複数のパートナーを持つ場合のHPV感染リスクが高くなることの影響が報告されました。
子宮頸がんワクチンは、がんのリスクを減少させますが、頸がんの原因となるHPVには、いくつかのゲノタイプがあるので、ワクチンを受けた場合でも、定期的に頸がん細胞診チェックを受けることが大切、と論文は結んでいます。
確かに頸がんワクチンは、がん予防に効果的です。しかし、それですべて安心というわけではなく、性行為感染症予防のための教育や定期的な検診を忘れてはいけないといえるでしょう。しかし、HPV感染で有病率が18・5%はかなり高い有病率という気がしますね(BMJ 2012, 344j e4168)。
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