今こそ考えよう 高齢者の終末期医療
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終末期医療は誰のもの?
終末期の高齢者に対する家族の想いは様々です。そのため、高齢者が終末期に受ける医療は家族により異なります。しかし、医療を受けるのは、家族ではなく本人です。本人は人生の終末をどのように迎えたいのだろうかと、本人の立場で終末期に受ける医療を選択して欲しいと思います。
ある76歳の女性患者さんはアルツハイマー病末期で、物を食べるとむせてしまい、肺炎を繰り返して入院していました。寝たきりで、言葉は発せず、家族の顔もわかりません。私がご主人に「もう食べることは無理ですが、胃ろうを作りますか」と聞くと、ご主人は迷うことなく「胃ろうは作りたくない。このまま食べさせていたい」と言いました。ご主人は、何年間も寝たきりの妻を自宅で介護し、入院後も毎朝、毎晩、自ら希望して食事を食べさせていました。結局、その患者さんは、肺炎で亡くなりました。
また、88歳の男性患者さんは、脳梗塞を起こし数年前から入院していました。胃ろうで栄養補給を受けていましたが、寝たきりで、言葉は発せず、家族の顔もわかりません。気管切開もされており、痰の吸引や気管カニューレ(気管の穴に入れたチューブ)交換のたびに、体を震わせて苦しみます。しかし、患者さんの妻は「夫は私の生きがいなので、1日でも長く生かしてください」と言います。
本人の意思確認が難しい場合、家族は経管栄養を行うべきかどうかで迷うことがあります。その時は、家族が本人に何を望むかではなく、本人が何を望むかを考えてください。大切なのは本人の満足です。(宮本礼子)
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それには医者の協力も必要
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>本人の意思確認が難しい場合、家族は経管栄養を行うべきかどうかで迷うことがあります。その時は、家族が本人に何を望むかではなく、本人が何を望むかを...
>本人の意思確認が難しい場合、家族は経管栄養を行うべきかどうかで迷うことがあります。その時は、家族が本人に何を望むかではなく、本人が何を望むかを考えてください。大切なのは本人の満足です。
と言われても医者からこうすることで助かる方法をあれこれ示された後、いいえ、いいです、このまま何もしないでください、と家族から言いだせるかは疑問です。
それだったら医者の方からも先に「助かる医療より穏やかな最期を迎えらえる方法」を示してくれないと。
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死に方上手を目指せば・・・・
寺田次郎 関西医大73期
生きるでもなく死ぬでもなく、ときに気管内挿管や点滴その他のチューブをつけたまま・・・「これって生きてるの?」と思う命が沢山存在することは確かです...
生きるでもなく死ぬでもなく、ときに気管内挿管や点滴その他のチューブをつけたまま・・・「これって生きてるの?」と思う命が沢山存在することは確かです。
植物人間あるいはそれに類する患者だらけの病棟を揶揄して「植物園」と表現することがあります。
家族の思いだけならまだしも、財産や保険金、年金の兼ね合いもあるようです。
医療関係者もうっかり「自殺ほう助」とかにならない為に積極的に治療に励みます。
人間は結構強い生き物で、なかなか・・・・結構、家族もろとも泥沼になることもあります。
最終的には患者と家族が納得してその時を迎えられるのかだと思います。
そう考えれば、臓器提供よろしく、どの程度の治療を望むかの意思表示システムがあっても良いかもしれません。
「70歳を超えたら、死亡予定者講習」みたいな感じで。
今回のお話は慢性期がメインだとは思いますが、自分がどういう状態になるか分かってないから(想定の範囲外)、救急車に乗って、(意識のないうちに)治療をされてからビックリするわけでしょう。
実際、ICU症候群と呼ばれるせん妄(錯乱)もこれ(無知)が原因の一旦ではないかと考えています。
生き方上手も大事ですが、死に方上手も同じくらい大事だと思います。
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生き方は多彩、本人の希望は
キヨシャン
難しい問題だと思います。元気な今こそ、その時点に成ったときのことを家族で話題にしておくべきではないでしょうか?子供は親孝行の一つもしていないのに...
難しい問題だと思います。元気な今こそ、その時点に成ったときのことを家族で話題にしておくべきではないでしょうか?
子供は親孝行の一つもしていないのにいざとなったら長生きしてほしいと胃ろうを含めてお願いすることも多いと思いますが果たして自分がその時にそれを要求すだろうか・・・本人はどう思うか? 元気なときに終末を相談しておきたいと思っています。
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