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第2次がん基本計画

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小児向け拠点病院整備へ

 政府は2012年度から5年間のがん対策を定めた「がん対策推進基本計画」を6月8日に閣議決定しました。この計画に基づいてどのようながん対策が行われるのでしょうか。

 ――がん対策推進基本計画とは何ですか。

 「国のがん対策の柱です。がんによる死亡率を減らすため、国や自治体が行うべき施策を、数値目標などを盛り込んで示しています。07年施行のがん対策基本法により、政府に作成が義務づけられました。基本法は5年以内に見直すことも定めており、今回の計画は、07~11年度の第1次計画を見直した、第2次計画にあたります」

 ――国内のがんによる死亡者数は年間でどれくらいですか。

 「政府の統計では、2010年で約35万人にのぼり、死因の第1位でした。また、治るケースも含めて、日本人の2人に1人が、がんを発病すると推計されています。今後、高齢化が進むにつれ、がんによる死亡者数が増えるのは避けられないと考えられています」

 「1次計画では『75歳未満のがんによる死亡率(年齢構成の変化を考慮に入れて算出)を10年間で20%減らす』ことを目標にしました。死亡者数そのものの増加を抑えるのは難しいことから『死亡する割合を抑える』というわけです。この目標は2次計画にも引き継がれました」

 ――どうすればがんによる死亡率が減らせますか。

 「がん医療の充実と、がん検診の受診率アップが不可欠です。そのため、1次計画では、質の高いがん医療を行う『がん診療連携拠点病院』の整備促進や、20%程度に低迷していたがん検診の受診率を50%に引き上げることを掲げました。5年間で拠点病院は100か所以上増え、約400か所となり、検診受診率も無料受診券の配布などの施策である程度上がりました。その結果、死亡率は約9%下がりました。ただ、近年は減少の程度が鈍っているため、2次計画では『より一層がん対策を充実させる』としています」

 ――2次計画では具体的にどう施策を進めるのですか。

 「拠点病院は整備したものの、行う医療の中身については、施設間格差が大きいのが実情です。とりわけ地方の病院は、がん医療専門医の確保に苦労しています」

 「検診受診率も上がったとは言え、せいぜい30%程度にとどまっています」

 「2次計画では専門医らの育成推進などでがん医療の質の向上を図るとしています。検診受診率は、5年以内に40~50%までのばすことを目指しています。現在、効果的に受診率を上げる施策を厚労省が検討中です」

 ――今回の計画で、たばこ対策が進んだそうですね。

 「成人喫煙率の引き下げについて数値目標を明記しました。喫煙率は10年時点で19・5%ですが、これを今後10年間で12%まで引き下げるとの内容です。1次計画では、たばこ業界などの反発で数値目標が入りませんでした。今回も反発は強かったものの、厚労省が押し切りました」

 「厚労省は、電話相談窓口の設置など、禁煙支援策の充実を検討するほか、たばこの健康への悪影響について、社会に広く知らせる活動を進める方針です」
――ほかに新しい項目はありますか。

 「『がんになっても安心して暮らせる社会の構築』という全体目標が新たに入りました。具体的な取り組みとして、がん患者や治った人たちが仕事に復帰するにあたって必要な支援策を検討し、仕事と治療を両立できるようにして不安を軽減する、としています」

 「また、小児がんの医療を充実させるため、『小児がん拠点病院』の整備を明記しました。現在、厚労省の検討会で病院の指定要件を決める作業が進んでおり、10月には指定が行われる見込みです」

 「子どもへの『がん教育』、がんに使う薬や医療機器の早期開発・承認に向けた取り組みなども盛り込みました。実効性のある施策を打ち出し、基本計画の内容を実現することが求められます」(竹内芳朗)

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