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[うつみ宮土理さん]韓国語修業で友人の輪

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使い込んだテキストを手に、「勉強して脳を使うのが、アンチエイジングになっているのかもしれません」(東京都目黒区内で)=上甲鉄撮影

 最初に使った韓国語のテキスト。ページをめくると、手本を見て練習した、たどたどしい鉛筆書きの文字が並んでいる。「子どもみたいな字ね。いっぱい間違えてる。あはははっ」。懐かしそうに目を細める。このテキストを見返すのが好きだという。「私、頑張ったなと思えるから」

 韓流ファンで、憧れの韓国人俳優に会って話してみたい一心で、5年ほど前に韓国語を学び始めた。すぐに「人生一度きりだからとにかくやってみようと思って」、2007年4月から3か月間、韓国に留学した。

 「60歳過ぎて留学なんて、君は偉いね」。夫の愛川欽也さんは、理解を示してくれた。テレビのレギュラー番組を辞めさせられるのではないか、年齢的に無理ではないか――などと心配する周囲を説得して回った。

 やればできると思って旅立ったが、現実は厳しかった。「カムサハムニダ」(ありがとう)「ペゴッパヨ」(おなかすいた)。覚えていった韓国語が、発音が違うのか全く通じない。語学学校では先生に激しく怒られる。でも、何を言われているのかさっぱり分からない。「このままでは卒業できない」。焦りから歯が痛くなったことも。

 キムチにキンパ(のり巻き)、好物のミカンやバナナを買ってきては、空腹を満たしながら一日中勉強した。先生の言葉が分かり始めたのは、卒業間近になってからだった。

 テレビの幼児番組「ロンパールーム」でデビューして以来、情報番組の司会などで活躍、ケロンパの愛称で親しまれてきた。最近は、シャンソンを歌ったり、舞台のプロデュースを手がけたりもしている。5月から、舞台出演のためタップダンスの練習も始めた。

 「新しくできることが増えると、自分はまだまだ大丈夫と思える。何もせず停滞していると、老いが怖くなる。新しいことに挑戦すれば、怖いことはない」。少し前まで年齢を聞かれることに抵抗感があったが、それも気にならなくなった。

 年を重ねても挑戦を続ける。それが、若さを保つ秘訣(ひけつ)でもある。「挑戦できるのは、生きているからこそ。新しいことをすると生きていることが楽しくなる。人の輪も広がる。だから、また挑戦したくなる」

 「パルリ ワー」。都内の百貨店に行ったとき、そばにいた女性の話す韓国語が耳に飛び込んできた。子どもに向かって「早くおいで」と言っているのが分かり、うれしさがこみ上げた。留学から1年ほどたっていた。

 今も週に1回、韓国語の先生について勉強を続けている。聞き取りには自信がついてきたが、発音や敬語が難しく、「まだカタコトです」。

 親友と呼べる韓国人の友人ができ、東京都内の行きつけの食堂ではオモニ(母)とおしゃべりする。韓国語で語りかけてくれるのがうれしい。

 「一生懸命学ぼう、話そうという姿勢を見せると、人は優しくしてくれる」。言葉をきっかけに、人の心が開くのを感じている。(小坂佳子)

 うつみ・みどり 1943年、東京都出身。テレビやラジオなどで活躍、著書も多数。今年4月、東日本大震災で親を亡くした子どもたちの進学支援に役立てようと、CD「青いこいのぼりと白いカーネーション」を制作した。6月22、23日に都内で舞台「ミドリの劇場」を上演。

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