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はつらつ健康指南

健康・ダイエット

車中泊 気軽さ人気…「疲労」に注意を

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 旅行中、乗用車などで寝泊まりする「車中泊」が目立っている。安上がりで、広い駐車場がある「道の駅」が増えていることなどが理由のようだ。一方、疲れなどが運転に影響する懸念もあり、慎重さも求められる。(崎長敬志)

 大型連休中の4月29日夕方、長野県富士見町の道の駅「信州蔦木宿(つたきじゅく)」駐車場はほぼ満車。神奈川県伊勢原市から訪れた、植木厚夫さん(72)、勝恵さん(74)夫婦が、車中泊のため荷物を整理していた。これまでも車中泊に使っている軽ワゴン車は、後部座席が足を伸ばして寝られるよう整えてある。「宿泊予約なしで出発できるのが魅力」と厚夫さん。明るいうちは周囲を散歩し、夜は温泉や食堂を利用する。その後、車内で寝るという。

 「蔦木宿」駅長の窪田幸人さんは「3年ほど前から駐車場を使い、車で泊まる人が目立ち始めました」と話す。特に大型連休や夏休みは多く、一度に約20台のキャンピングカーが訪れたこともある。

道の駅など利用

 車中泊は道の駅や高速道のサービスエリア(SA)などで夜を過ごすことを指す。有料のオートキャンプ場での宿泊とは区別されることが多い。

 東北地方の道の駅や自治体などで作る「東北『道の駅』車中泊研究会」(仙台市)が2年前に道の駅で調査したところ、多いときには週末に24台が車中泊をしていた。「キャンピングカー」「車中泊用の改造車」「乗用車」がそれぞれ3分の1ずつで、50~60歳代が6割を超えた。半数以上は夫婦だった。

 「車中泊の作法」などの著書があるライターの稲垣朝則(とものり)さんは「好きな場所に車で行くことに慣れ、時間に余裕のある団塊世代に広がっています」と話す。幹線道路沿いに広い駐車場を整備した道の駅が増え、ノウハウがインターネットで紹介されていることも、動きを後押しする。

 ただ、車中泊を積極的に受け入れている施設は実は少ない。道の駅の登録を行っている国土交通省道路局は「道の駅は仮眠のための施設で宿泊は想定していない」、NEXCO西日本(大阪市)も「SAなどの施設は旅行する人が休息をとる休憩施設」。「蔦木宿」も公式に認めているわけではなく黙認状態という。

エコノミークラス症候群の危険も

 車中泊で狭い空間で過ごすため、健康面の心配もある。日本旅行医学会(東京)事務局では「車内で過ごす日が続くと、エコノミークラス症候群の危険性がある」と指摘し、水分を十分とる、ゆったりした服装や車外での運動といった注意点を挙げる。

 また、狭い空間で過ごす車中泊は宿よりも疲労が残りやすい。疲れを感じたときはホテルなどに泊まる。日中眠気を感じたら、仮眠をとったり、日帰り入浴施設で休んだりと、体調に気を使う必要がある。

マナーに注意

 マナーも問題となっている。京都府京丹後市の道の駅「てんきてんき丹後」では「車中泊は推奨しません」と看板などで明記し、アイドリングや調理炊事、衣類などの天日干しなどを禁止行為として挙げている。実際、真夜中に炭を使って調理をしたり、テントを張ったりする迷惑行為があったためだという。

 稲垣さんは「車中泊は注目され始めたばかり。ルールなどが定まっておらず、いろんな議論が必要」と話す。

情報集め、準備を 記者体験記

田島さんから話を聞く記者(左)。「施設の中には座敷もあるのでゆっくり休憩してください」と田島さん(埼玉県神川町で)

 災害現場で車中泊をしたことがあるが、翌朝体の節々が痛くなり、いい思い出ではない。準備した上での車中泊はどうなのだろう。連休明けの7日、記者(39)が試してみた。

 訪れたのは、埼玉県神川町の温泉施設「かんなの湯」。エンジンを掛けなくても車内で電化製品が使える電源コンセントを、駐車場に設置するなど、積極的に受け入れている。車1台で1泊1500円だ。トイレは施設そばにあり24時間使える。副支配人の田島茂行さんは「定期的に訪れるファンもいます。連休中も4、5台いました」。

 用意したのは、レンタカーの普通乗用車。車中泊を解説した本に「床面がほぼフラットになる」とあった車種だ。

 夕方到着し、周囲を観察。川や林など自然豊かで、車の通行量も少ない。せっかくなので温泉に入り、食事も併設の食堂で食べた。ただ、車に戻ることを考えると、ビールには手がのびなかった。

窓にタオル防犯も/座席の凸凹違和感

 戻ってから窓に粘着テープでタオルを張ってみた。光を遮断するほか、防犯上の効果もあるという。ところが大きさが合わず、すき間ができてしまった。そこから車のライトなど光が入ってくる。

 寝るのは座席を倒した後部座席。身長165センチの記者なら何とか足を伸ばして寝ることができる。寝袋を持ってきていたが、意外にでこぼこした部分があり、寝返りで違和感を感じた。気になると、なかなか寝付けない。午後10時までは温泉施設が営業しているため、外から足音や声が聞こえ、落ち着かない気分だ。

 田島さんは「こちらも体験してみて」と駐車場脇にあるキャンピングカーを案内してくれた。車で牽引(けんいん)するキャンピングトレーラーが有料で泊まれるように置いてあり、電気も使える。中は立って歩くこともでき、普通の部屋のようだ。車中泊専用の設備は、普通の車と全く違うことがよくわかった。

 翌朝7時半頃から、車の返却のため約20キロ・メートル運転したが、特に疲れは感じなかった。しかし、早い時間に出発したり、走行距離が長くなったりすると、眠気や疲れが心配だ。

 オートキャンプ場を利用することも一つの手だろう。トイレはもちろん、炊事や調理ができる場所も設置されており、ゆっくり過ごすこともできる。1泊4000円程度の場所が多い。

 思った場所にどこにでもいけるという自由が車中泊にはある。ただ、情報を集めるとともに、十分な検討や準備が重要だと感じた。

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