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妊娠・育児・性の悩み
妊娠中 旅で2人の時間
出産を控えた夫婦向けプランを設ける宿泊施設が出てきている。妊婦用の寝具を用意したり栄養バランスを考えた食事を出したり、妊婦の健康に配慮しているのが特徴だ。通常料金よりやや高めだが、出産直後、夫婦だけでの外出が難しくなるため、思い出作りに利用するケースが目立つ。(田中左千夫)
特別料理や記念写真…ホテルがプラン
宇都宮市の主婦、吉田あゆみさん(28)は4月、群馬・長野両県にまたがる軽井沢地区に、夫(29)と1泊2日の旅行に出かけた。8月に出産を予定。「妊娠中は外出の機会が減るので夫婦2人の時間を持とうと計画しました。よい気分転換になりました」と話す。
吉田さん夫婦が利用したのは、「ホテルグリーンプラザ軽井沢」(群馬県嬬恋村)の「マタニティプラン」。2食付きの宿泊料金は2人で3万6000円と、この宿の通常プランより2割ほど高いが、夕食に特別料理が出たのに加え、腹回りなどにゆとりのある妊婦用の部屋着や楽に寝られる妊婦用抱き枕を備え、快適だったという。通常よりチェックインが1時間早く、チェックアウトも1時間遅いため、のんびりできたという。
交通の便の良い都市部のホテルのプランも充実してきている。横浜市の中華街に近い「メルパルク横浜」はホテル内のスタジオで、出産前の夫婦の記念写真を撮ってもらえるプランが人気を集めている。
4月16日から「プレママプラン」を始めたのは「ザ・プリンスさくらタワー東京」(東京都港区)。妊婦に必要とされる葉酸などを多く含んだ食材を使った朝食が出る。妊婦向けヨガのレッスンも割引料金で受けられる。最寄りのJR・京浜急行品川駅から無料送迎バスもある。
旅行サイト大手の「楽天トラベル」(東京)によると、同社が扱う妊婦に配慮した宿泊プランは、今年1~3月で昨年同期比の2・5倍になり、予約数も約3割増えた。「東日本大震災後、家族との時間を大事にしたいという傾向が強まったのが、人気の背景にある」と同社ではみている。
産婦人科医で、日本旅行医学会の認定医でもある竹内正人さんによると、比較的状態が安定している妊娠5か月から8か月にかけて旅行に出るのは、気晴らしや思い出作りのほか、夫婦の間柄を見つめ直す意味でも有効だ。「日常を離れた旅先で子育てについてじっくりと話し合っておけば、出産後の夫婦間のトラブルを防ぎやすい。ゆったり過ごすことを心がけてほしい」
ただし、人気の行楽地などは、行き帰りに渋滞に巻き込まれることも。「特に渋滞中の高速道路上では、体調に異変があっても道路をすぐに下りられず、同じ姿勢で座っていなければならない。高速道路を利用するなら、道路がすいている平日を選んだ方がよい。目的地周辺に産婦人科の病院があるかも事前に調べておいてください」と竹内さんはアドバイスしている。
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