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タレント・細山貴嶺さんインタビュー全文(2)小学校で自殺図る

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 ――小学校の時、自殺を図るところまで追い詰められたんですね。

 「学校中が敵の状態の中、1人だけ仲良くしてくれていた子とプールの授業の前に大げんかをしたんです。授業の後、更衣室で着替えている時に、1人ボーッと座って考えていて、『もう誰も助けてくれる人はいない』と、気がついたらネクタイで首を絞めて倒れていました。1人でも味方をしてくれる人がいれば頑張れますが、それも失い、絶望したんだと思います」

 ――その後どうなったんですか。

 「一瞬ぐたっとなったところを友達が気付き、病院は行かずに、学校とつながりのあるカウンセラーによるカウンセリングを受けました。1時間ぐらい僕と母は別々の部屋でそれぞれがカウンセリングを受けたのですが、学校とつながっているせいか、家庭環境のせいにされ、いじめのことが原因とはされませんでした。学校も結局いじめは認めず、転校を勧めるだけでした」

 ――本当だったら、この深刻な事件をきっかけにいじめにストップがかけられそうですが、何も変わらなかったんですね。

 「そうですね。いじめ問題というのは対策がすごく難しいんだと思うんですよね。1人1人が違う以上、これをすれば絶対にいじめがなくなるということはないと思うんです。戦争だって、人種差別だって、領土問題であれ、根底として人間はある程度、別の人間をいじめる生き物なのかなと思います。だから、何かしら、努力をしたりだとか、社会環境を変えたりしていくことで、いじめを少なくすることはできると思うんですが、完全にはなくならないのかなと思います」

 ――いじめを親にもなかなか言えなかったんですね。

 「大切な人だからこそ心配させたくないし、不思議なことに、いじめっ子も友達と思っているので裏切りたくないという気持ちが働く。スクールカウンセラーもいましたが、いくらカウンセラーという人が自分の悩みを聞いてくれる人だということがわかっていても、突然、行って聞いてもらうということはすごく勇気がいることです。普段のかかわりがないので、相談はできませんでした。自分にとって大事な秘密を話す時は、ある程度、信頼関係が必要。確かに、良い試みだとは思うのですが、そんな関係を普段から築くことを考慮しておかないと、利用しづらい制度だと思います」

コンプレックスを笑いに…芸人の姿見て、心に変化

 ――いじめ克服のきっかけは?

 「中学の時、芸人さんたちが、体形や容姿のコンプレックスを笑いに変えているのに気付き、心に変化が生まれました。太っているから自分はダメだと思う心が、いじめを招いているのかもしれないと。自分を好きになりたくて、まず苦手な勉強を頑張りました。成績が上がり、自信が付くと味方も増えました」

 ――意地悪な言い方ですが、いじめをなくすにはいじめられている側が変わらないと無理なんですか?いじめられる側が努力しないとダメなんですか?

 「いじめられる側にも原因があるということがよく言われるんですが、確かに、いじめたくなるような要素をいじめられる側が持っていることもよくあると思うんですよ。だからといって、いじめてはならないと思うし、最終的に誰が一番悪いかということを考えれば、いじめる行為をした者が一番悪いと僕は思っています」

 ――頑張って勉強に取り組み始めたころからダイエットも始めたんですね。

 「健康を心配してくれた先生の言葉がきっかけで、107キロあった体重を40キロ減らしました。それまで意地悪で、『やせろよ』と言われることはあっても、健康を気遣って言われることはなかったので、素直に受け止めることができたんです。太っている限りはいじめの種はなくならないという思いもありました。でももし、また太ったとしても、心まで弱い頃には戻りません。『太っているのも一つの個性。そのおかげで、テレビにも出られたんだよ』と今なら胸を張って言えます」

 ――ダイエットをして健康にもなったのはいいことだとは思いますが、今太っていることを理由にいじめられている子がいるとしても、みんなにそれを勧められるとは言えませんよね。いじめる方が悪いんだし。

 「全員が全員、ダイエットをして変われるかといったら難しいとは思います。本当に変わりたいと思う子がいたら、僕みたいにダイエットするしかないと思う。でも、自分を変える方法は、ダイエットだけではないと思うんですよ。僕は偶然、芸能界にいて、芸人さんが自分のコンプレックスを売りにして、色んな人を幸せにしている姿を見る機会が多かったので、短所が長所にもなるということに気付けたと思うんですけれども、今太っていじめられている子も、自分のプラスになる部分を見つける方法は、ダイエット以外にもあるんじゃないかと思います」

107キロの体重を40キロ減…長所見つけ、自分に自信

 ――いじめられているうちに、自信はかなり失われていたんですか。

 「全くと言っていいほど、自信がなくなっていましたね。これだけどこの学校でもいじめらるということは、自分にもいじめられる原因があると思っていました。自分は価値のない人間だと、どんどんマイナス思考に走ってしまって。1回自分を否定してしまうと、どこまでも自分を否定してしまうマイナスの連鎖が怖いんです。周りの環境も大事だと思います。学校であれ、友達であれ、親であれ、支えてくれる人がいるというだけで、マイナスに走っていた思考が、プラスになったりだとか。日常の普通のことが楽しく感じたりだとか。その中で自分のプラスを見つけ、ちょっとずつちょっとずつ、マイナスな思考から離れて、自信みたいなものが出てくるのかなと思いますね」

 ――学校の環境が変わったのも良かったんですね。

 「中学になって学校の対応が変わったことも大きかったです。いじめでトラブルが起きた後、1人の先生が話を聞いてくれ、『僕は君を守るから』と言ってくれたんです。そういう風に、学校として僕を支えてくれている、相談しようと思えば、いつでも相談できる人がいるというのはすごく心強いことでした。色々と話して、理解してくれていると思うことで、自分だけが問題じゃないんだってわかってきて。当然のことなんですけれども、いじめる側にも問題があって、ということがちゃんとわかってきて、最終的に自分の自信が芽生えたんですね」(続く)

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