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小川恵子の漢方で健康生活

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雨と頭痛

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 私が住んでいる金沢は、雨がよく降ります。晴れていると思ったら、次の瞬間に雨が降ってくるので、「弁当忘れても傘忘れるな」ということわざがあるくらいです。食いしん坊の私としては、お弁当忘れるのも大問題ですが(笑)。皆さんは、雨が好きですか? 私は子どもの頃、雨の日が待ち遠しかったものです。お気に入りの赤い長靴で水たまりに入って、ぱしゃっ、という音をさせるのが好きでした。でも、いつの頃からか雨の日があまり好きではなくなっていました。雨が降る前に、頭痛がするようになったからです。頭痛がすると、何をするにもおっくうになり、気分も沈みがちになります。仕事も家事もはかどらなくなってしまいますが、頭痛は目に見えないだけに、怠けていると勘違いされることもあり、なかなかつらい症状です。

 今回は、頭痛の中でも、お天気の変化に伴って起こる頭痛についてお話ししたいと思います。

雨が降ると

 雨はなぜ降るのでしょう? 雨が降る前には、低気圧前線が進んで来ることが多いです。大気中の水蒸気が上昇気流に運ばれて凝結し、細かい水滴でできた雲となり、やがて大きくなった雨粒が地上に落下して雨になります。この低気圧が原因で頭痛が起こるのではないかと言われています。低気圧だと何が悪いのか? 山に登ったり、飛行機に乗ったりすると、頭痛や頭が重い感じがすることはよく知られていますが、これは、気圧が下がることによって頭の中の圧力が上がることが原因で頭痛が起こるのではないかと言われています。

 Aさんは、28歳、頭痛歴8年の女性です。20歳前後から、天気が悪くなる前に頭痛が起こるようになりました。鎮痛剤を飲んでなんとかしのいでいましたが、今度は鎮痛剤の副作用で胃が痛くなったりして困っていました。そこで、五苓散(ごれいさん)を飲み始めたところ、雨の日の前の頭痛が段々起こらなくなりました。また、体の重だるい感じが改善してきて、胃の調子も良くなりました。

 五苓散は、お天気の変化に伴って起こる頭痛によく効くと言われています。また、飛行機に乗ったり、山に登ったりすると起こる頭痛や耳の痛みにも有効であることが多いです。また、二日酔いのお話の中にも出てきました。このように、五苓散は、体の中の水のバランスを整える、つまり、潤いが必要なところに水を補給し、不必要なところからは水を除去する漢方です。そう考えると、いろいろな使い方ができ、湿気の多い日本では特に出番の多い漢方薬だと思います。その他雨の日の頭痛には、冷えを伴っている場合には、真武湯(しんぶとう)や呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、立ちくらみがある場合には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)がよい場合もあります。

 金沢に住んでから、長靴を買いました。最近は長靴もおしゃれになって、選ぶのがたいへんでした。これなら水たまりにも遠慮なく入れそうです。頭痛がひどくならないように、自分の体の調子に気をつけて、雨を楽しみたいと思っています。皆さんも、体の中の水分バランスを整えると、雨の日をより楽しく過ごせるかもしれません。

ストレスに用いられる漢方薬
五苓散(ごれいさん)
真武湯(しんぶとう)
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
【参考:漢方薬に関する詳細は、QLife漢方(キューライフ)へ】
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漢方ブログ_小川恵子87

小川恵子(おがわ けいこ)

愛知県名古屋市生まれ

金沢大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 和漢診療外来 特任准教授

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