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楽ラク介護術

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(1)望みをかなえて笑顔に

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 皆さん、介護って何だと思いますか? 何でもやってあげること? 上手におむつを替えること? 

 私は、「その人の望みをかなえること」だと思っています。多くのお年寄りとの出会いが、そう気付かせてくれました。

 心身が衰えても、それまでの生活習慣を大事にしながら、やりたいことをして、行きたい所に行きたいですよね。そのために、いかに本人の力を引き出し、支えていくかを工夫することが、介護じゃないかな。「できない」「危ない」と制限されてばかりでは人生つまらない。その人らしく暮らせてこそ、笑顔になれます。

 私は、末期がんを患った祖父を支えたくて、介護の道に入りました。

 祖父は日本酒が好きで、食事ができなくなっても晩酌だけは欠かさず、ギリギリまで入院を拒否していました。入院後は、体に入れたチューブを抜かないよう両手にミトンの手袋をされ、苦痛に顔をゆがめる日々。介護を拒絶し、口の中をガーゼでふこうとしたら、力いっぱい指に噛みついてきました。

 そんなある日、祖母が私に一言、「酒買って来いじゃ」。驚く私をよそに、日本酒をたっぷりと脱脂綿に含ませて祖父の口の周りをふき、「アルコール消毒だ。おど(祖父)は酒が大好きだもんなー」。祖父はゆっくりと舌を出して唇をなめ、笑みを浮かべました。この光景が私の介護の原点です。

 相手の望みを探り当て、力を合わせて実現する。そんな介護なら、お年寄りは生きる喜びを取り戻し、どんどん力を発揮します。寝たきりの人が歩けるようになることも珍しくない。介護する方もラクで楽しい。

 両方が笑顔になれる介護のコツを、皆さんにお伝えしていきます。(青山幸広、介護アドバイザー)

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