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病児保育モデル事業開始…宮崎
共働き家庭にとって、保育所に預けた子どもの急な発熱は厄介な問題だ。迎えに行ける祖父母が近くにいない場合、職場を離れざるを得ないケースが多い。
仕事は早退や欠勤になりがちで、保護者からは「病気でも預かってもらえると助かる」と切実な声が聞かれる。
宮崎県は新年度から子育て中の共働き世帯の負担を軽減しようと、親に代わって看護師らが子どもの面倒を見る「病児等お助け保育モデル事業」(361万円)を始める。保育所で子どもが発病した際、親からの依頼で、事前に登録された看護師が派遣され、看病する。7月頃のスタートを目指している。
背景には、病気の子どもに対する保育体制の遅れがある。県こども政策課によると、県内で病児・病後児保育を導入しているのは15施設。保育所は9園しかなく、全体の2・3%にとどまる。一方、共働きの広がりなどで保育所の園児数は年間100~700人のペースで増え続け、2011年度は約2万8800人に上る。
病児保育の導入が進まない要因として、同課は「看護師の常駐は採算的に厳しく、保育所が慎重になっている」という。このため、モデル事業では、看護師を保育所に待機させる「常駐型」ではなく、病院などを退職した看護師が、要請に応じて出向く「派遣型」にして経費節減を目指すという。
県ナースセンターによると、看護職を探している人に仕事を紹介するナースバンクには、1日現在で約320人が登録している。ただ、登録者の中には就労中の人や助産師、看護学生も含まれるため、県は「仕事のない看護師がどれだけいるのか把握できない」と、事業に必要な看護師の確保を不安視している。
また、保育所内の看護スペースの確保や、子どもの容体が悪化した際の対応、利用料金をいくらに設定するかなど課題は多い。県は4月にもモデル事業を実施する1自治体を選び、保育所や子育て支援のNPOなどと協議を始める。
軌道に乗れば、育児を理由に仕事をためらっていた母親の就労機会を増やすことができる。モデル事業に寄せられる期待は大きい。(尾谷謙一郎)
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