文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

こころ元気塾

ニュース・解説

元宇宙飛行士・山崎直子さんインタビュー全文(5)多くの人が宇宙に行ければ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 ――これからの抱負をお聞かせください。

 「私の夢は、たくさんの人が宇宙に行ける世の中になってほしいということなんです。宇宙観光は、アメリカでは早ければ今年の後半から始まると言われています。それはほんの数時間のフライトですが、そういうところから始まって、ゆくゆくは日本からも宇宙旅行ができるようになってほしいなと。遠からずできるのではないかと思います。私自身がどうそれに携わっていけるかは試行錯誤の段階ですが、宇宙体験をうまくフィードバックできればいいですね」

 ――本当に宇宙がお好きなんですね。

 「宇宙に行ってみたい方って、結構たくさんいるんですよ。それが実現できたらいいなと思いますね。今の宇宙飛行士の条件は、NASAでもJAXAでも理系の大学を出ているということがある。でも、理系に限らず、文系の方、文学者や芸術家といったいろんな分野の方にこそできることもあると思うんです。日本人で宇宙に行ったのは、私が8番目でした。世界全体で見ると、50年前に最初に行ったガガーリンさんから私で517番目。まだ1年で10人程度しか行っていないんですね。今のペースで宇宙開発をやっていると、宇宙に行く人数はおそらくそれほど増えないと思います。でも、宇宙観光など別の切り口が実現されれば、それを契機にいろんな分野の人が宇宙に行くようになって、新しい世界が広がるんじゃないでしょうか」

 ――そんな時代が来るんですね。

 「人が宇宙に行くということには、衣食住、法律、経済、いろいろな分野がかかわるんですね。裾野が広くなって宇宙がどんどん身近になってくると思うんです。もちろん、フロンティアを開発していくのは国家事業になりますから、職業的な宇宙飛行士が開拓していくということは変わりませんが、それプラス、もっと宇宙が大衆化していく流れもこの10年くらいでできてくるんだろうと思うので、それを応援していきたいなと思います」

意志を持ち続ける秘訣は?

 ――子どものころから宇宙を夢見てこられたと聞いていますが、初志を貫くのはなかなかできないことです。意志を持ち続ける秘訣はなんでしょう。

 「後から振り返ってみるとそうなんですけど、その時々でいろいろ悩んでもいるんですよ。小学生の時は宇宙飛行士なんてわからないから、学校の先生やお花屋さんになりたいとか、ディズニーランドで働きたいと言っていた時期もあります(笑)。ただ、中学3年生の時にスペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故のニュースをテレビで見て宇宙飛行士という存在を知りました。それから、宇宙にかかわることができたらいいなという思いが強くなりました。そういう視点で、学生時代も過ごしていて、それがその後につながったんだと思います」

 ――宇宙にあこがれを持つ子どもたちや若い人たちへの、メッセージをお願いします。

 「私も実際に宇宙に行ってみて、地球もその上に住んでいる私たちも宇宙の一部だなと思ったんですね。だから、宇宙に興味を持つ、宇宙を知るっていうことは、私たち自身を知ることにつながるので、そういう大きな視野を持ってほしい。それから、身近な周りのことに興味を持つこと、それが宇宙への一歩なのかなと。きっかけはすごくささいなことだと思うんですね。私自身も小さなことの積み重ねでだんだん道ができた。いきなり大きな道に到達できるわけではなくて一歩一歩なんですよね。今やっている学校のこととか家族のこととか、自分の生活を大事にすることが大きな道への基礎になります。だから、身の回りのことに感謝の気持ちを忘れないで、一歩一歩おろそかにしないで歩いていってほしいと思います」

自分の夢と、ほかの人の夢を応援すること…どちらも大事

 ――もう一つ。仕事と家庭の両立に悩む多くの人たちに伝えたいことは?

 「私自身、試行錯誤の連続で、決してうまくできてこなかったんですね。夫も私も2人とも、仕事とやりたいことを両立させることができれば、それが一番の理想です。自分自身の反省も込めてですが、自分の夢と、ほかの人の夢を応援することと、どちらも大事だと思うんですね。どちらが偉いとかいいとかではなくて。それぞれの夢が大事でお互いに尊重できることが一番いいと思うんですよ。だから、一時つらいこととか我慢しないといけないこととかが人生の中にはありますけど、『何とかなるさ!』じゃないですけど、長い目で見てうまくバランスを取っていけたらいいのではないでしょうか」(終わり)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

こころ元気塾の一覧を見る

最新記事