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元宇宙飛行士・山崎直子さんインタビュー全文(1)アメリカで第2子出産

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 2010年4月、子を持つ母としては日本人で初めて、宇宙飛行を経験した山崎直子さん(41)。大役を果たした陰には、家族の危機と再生の道のりがあり、共感を呼んだ。2011年8月末に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職し、10月に第2子を出産。家族と向き合って見えてきたもの、ますます膨らむ宇宙への夢について聞いた。(高梨ゆき子)

山崎直子(やまざき・なおこ)
 1970年、千葉県生まれ。東大大学院修了後、宇宙開発事業団(現・JAXA)に就職。1999年に宇宙飛行士候補に選ばれる。2000年、宇宙関連企業に勤務していた大地さんと結婚し、2002年に長女出産。2010年4月、米スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗し、国際宇宙ステーションの作業を担った。

 ――昨年(2011年)10月、2人目の娘さんを出産されたそうですね。おめでとうございます。

 「ありがとうございます。上の子から9年あいているので、赤ちゃんのことはいろいろ忘れてしまっているところも多く、一からやり直しみたいな感じもあるんですが、それがかえって新鮮で、子どもと過ごす時間は、すごく幸せですね」

 ――ご出産はアメリカでされたと聞きました。

 「はい、アメリカで産みました。いろいろ考えたんですけど、アメリカで生まれれば、子どもが成人するまで日米の二重国籍が認められるということが、一番大きな理由でした。というのは、私たちがビザの問題ではすごく苦労しているからなんです」

訓練のためアメリカ勤務…夫が会社辞め、家族3人で渡米

 ――訓練のためアメリカ勤務となった時、ご主人の大地さん(39)が会社を辞めて主夫となり、家族3人一緒に渡米したのでしたね。

 「夫はアメリカで仕事を再開するつもりでしたが、ビザの問題で働けませんでした。働けるビザを取るためにとても苦労して、結局取れなくて、グリーンカード(永住権)を自分たちで取ったのですが、何年もかかりました。その間、彼はずっと我慢しなければいけない状況でした。今後、アメリカで暮らすこともあり得ると思うので、ビザの問題に左右されずに家族が一緒にいられるようにしたい気持ちが強くて、娘にはアメリカ国籍もと思いました」

 ――自宅出産だったとか。

 「そうです。自宅というか、自宅代わりにしていたハウスボート(居住もできる船)なんですけれども。それが一番安上がりだったんですよね。アメリカは医療費が高いですから。助産院であればかなり料金が手頃になるんですね。日本での出産費用と変わらないくらいです。それで、妊娠中に異常があると不安なので病院に行かざるを得ないですから、経過を見て、幸い順調だったので、助産院でいけそうだとわかった時点でアメリカに行きました。もし経過に不安があって病院で産まないといけないとなっていたら、日本で産んでいたと思います」

 ――出産の時はご家族も一緒に?

 「そうですね。その助産院では、助産院で産むこともできるんですが、助産師さんが自宅に来てくださって、自宅出産をサポートしてくれるというシステムもありました。それを知った時、『これだ!』と思いまして。ハウスボートは、私たち家族にとってすごく思い出のある場所なので、そこで第2子を産むことができたらいいだろうなと思ったんですね」

 ――上の娘さんも出産に立ち会ったのですか。

 「立ち会いました。これは前日までずっと迷っていたんですけれども、長女に『どうする?』って聞いたら、最初は『こわいかなあ』と言っていたんですが、最終的には立ち会いたいと言ったんですね。長女もそう言っているし、せっかく自宅出産しているのに長女だけどこかに行っているのでは疎外感を感じてしまうかなと、みんなで一緒にやっているんだって思えることが長女にとってもいいかなと思ったんです。その時、夫も日本から駆けつけてくれていましたし、何かあったら夫が長女をケアしてくれるという安心感もありました。夕方くらいから陣痛が始まって、夜10時くらいに出産したんですけど、学校の時間でもなく、真夜中でもなく、長女の立ち会いにはちょうどいい時間帯になりました」

自宅で見守られながら出産…家族と時間を共有

 ――家族に見守られながらの出産、いかがでしたか。

 「自宅出産は初めてだったんですけど、結果的に長女も全然こわがらず、むしろ一番しっかりしていましたね。興味津々にじっと見ていて、腰をさすってくれたり、『頑張ってね』と応援してくれたりして、私のほうがびっくりしてしまいました。成長したんだな、たくましくなったんだなっていうことに。家族みんなでそういう時間を共有できたのがよかったと思います」

 ――赤ちゃんが産まれた時、娘さんは何と言っていましたか。

 「『わあ、すごい! 赤ちゃんだ』って、言っていたと思います。人から聞いていたところでは、子どもが出産の場面を見たことで、こわくなってトラウマになる恐れがあるという話がある一方で、それがいい体験になって、下の子に対してすごく優しく接してくれるようになったという話もあって、長女の場合どちらに転ぶかわからないので、どうしようかなと最後まで悩んでいたんですけれども、立ち会いたいという長女自身の希望を尊重しました」

 ――9歳なのにしっかりしていますね。赤ちゃんのお世話は手伝ってくれますか。

 「すっごい手伝ってくれますね。短い時間だったら、ちょっと子守しててねって頼むと、オムツ替えからミルクからやってくれますし、頼りになります。出かける場合でも、数時間くらいだったら、お願いねって託すことができるので」(続く)

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