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(8)世代間の支え合いとは

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  公的年金は「世代間の支え合い」の仕組みと聞きます。どういうことでしょうか。

少子高齢化、揺れる制度

 誤解している人が多いのですが、公的年金は「現役時代に保険料を払って積み立て、老後に利息つきで受け取る」という「積み立て方式」ではありません。

 現役世代が払った保険料は、その時点の高齢者への年金給付に充てられます。現役世代が年を取れば、今度はその下の世代が払う保険料から年金を受け取ります。こうして順送りで若い世代が上の世代に仕送りする仕組みが「世代間の支え合い」です。「賦課方式(ふかほうしき)」とも呼ばれます。

 この方式の利点は、インフレが起きても、その時代の生活水準に合った年金を確保できることです。高度経済成長期には物価や賃金が急上昇しましたが、合わせて年金額も引き上げられました。現役世代の賃金が上がれば保険料収入が増えるので、年金も増額できるのです。

 弱点は、少子高齢化で保険料を払う現役世代が減り、年金をもらう高齢者が増えると、年金財政が苦しくなること。65歳以上の高齢者1人を支える20~64歳の人数は、1970年の8・5人が2010年には2・6人に、2060年には1・2人まで減ってしまう見通しです。公的年金が抱える最大の問題です。

 2004年の年金改正では、少子高齢化が進めば年金水準を自動的に下げる仕組みが導入されました。ただ、デフレ経済を理由に停止されているので、年金財政は悪化する一方です。

 このため、「積み立て方式に転換すべきだ」という意見もあります。人口構成の変化の影響を直接的には受けないからです。しかし、大きな問題点があります。

 転換すれば、今の現役世代は自分の老後のための積み立てと、今の高齢者のための保険料支払いという「二重の負担」を負います。

 インフレに弱い問題も指摘されています。大きなインフレが起きれば、年金の実質価値は大幅に目減りし、生活に支障が出ます。年金は50年60年と付き合う制度。先々何があるかわかりません。

 結局、今の仕組みのなかで、年金水準の自動引き下げの早期開始など、財政改善の努力を重ねていくことが現実的と言えるでしょう。(林真奈美)

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