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骨の病気 ―― 予防 ・ 診断 ・ 治療の最前線

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(5) 討論 「骨粗鬆症」 治療薬が多彩

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パネリスト
  • 岩本 幸英 氏(日本整形外科学会理事長、九州大学大学院医学研究院 整形外科 教授)
  • 遠藤 直人 氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科 整形外科学分野 教授)
  • 齋藤 知行 氏(横浜市立大学 整形外科 教授)
  • 田中 正 氏(国保直営総合病院 君津中央病院 副院長・千葉大学医学部 臨床教授)
  • 高橋 和久 氏(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学 教授)
コーディネーター前野 一雄(読売新聞東京本社 編集委員、METIS委員)

 

骨粗鬆症

 前野 : それでは、私から質問します。骨粗鬆症は必ずしも高齢者だけではなくて、女性に多く、20代や男性にも見られるとのこと。その原因は?

 遠藤 : 骨粗鬆症が女性に多いのは、女性ホルモンと大きく関係するからです。閉経前後のころから女性ホルモンがなくなり、骨が減ってしまうので、骨粗鬆症となる方が多いと思われます。

 しかし女性ホルモンだけではなく、男性ホルモンも骨と影響しています。男性の閉経期は女性ほど劇的ではありませんが、徐々に男性もホルモンが減っていき、男性も骨粗鬆症と関連している場合があります。

 もう一つ、20代、30代女性の骨粗鬆症は、ダイエットを複数回以上した人、朝食を週2~3回食べない方は、骨が少ないと言われています。なかなか外に出ない、あるいは暗いときしか外に出ないようなお日さまに当たらない生活で、生活習慣が非常に乱れている方は、骨に影響すると考えられます。

 前野 : 骨を強くするため、牛乳・乳製品以外にビタミンDとKの取り方はありますか。

 遠藤 : カルシウムを取ろうと、四六時中骨入りの食べ物をかじったり、ビタミンD入りビスケットやカルシウム入り牛乳を何本も飲んだり……。やはり平均的にまんべんなくいろいろな種類の食物の食事を取り、足りなければ、ふりかけやスキムミルク、魚類を一つ加えるなど工夫をしてください。

 前野 : ある程度の年齢になりますと、若い時に比べて身長が縮んだ感じがあると思います。これは骨粗鬆症の兆候でしょうか。

 遠藤 :1つの兆候と考えていい。背骨は、高さがある骨です。背骨の骨折は圧迫骨折で、上下の方向につぶれてしまいます。これは骨折が直ったから膨らむことはありません。背骨の骨がくっついた後でも、高さは減じたままです。

 身長が若い時に比べて、明らかに低くなれば、背骨に圧迫骨折か骨粗鬆症の疑いがあります。もちろん背が低い=すべて骨粗鬆症という意味ではありません。

 前野 : 聴衆の質問で多かったのが薬の問題です。飲み続けることの弊害、薬を変えるタイミングなどです。

 遠藤 : 現在、非常に多くの薬があります。カルシウムだけで骨粗鬆症の骨折を予防するのは力不足です。ビタミンDは、基本的な薬として使われています。SERM(サーム)は、女性ホルモンの骨の部分だけ取り出した薬で、骨の吸収を少し抑える役割があります。

 ビスホスホネートは、骨の吸収を強く抑えます。PTSはおなかに注射をするホルモンの薬で、骨を作る、骨の形成を高めます。

 骨の吸収が非常に盛んな方なのか、骨の作り、形成が非常に弱い方なのか、骨の状態に合わせて薬を選択していくことが1つの方法ではないでしょうか。効き目がなかなか出ない場合は、薬が自分の骨の状態と違うのか、ほかの薬が合うのか見ていく必要があります。

 そのためにエックス線で骨の状況を見たり、骨密度を測って骨の量を調べたり、血液や尿で骨の代謝マーカーを見て、薬の効果や合っているのかを見極めます。場合によっては、ほかの薬に変えていくことも必要だと思います。

 骨の薬に心配事があります。ビスホスホネートは、ごくまれにあごの骨が壊死といって、血のめぐりが悪くなってしまうことがあります。特に糖尿病があったり、歯周病があったりして、口の中の衛生状態が悪い方にごくまれに起こります。

 前野 : 副腎皮質ホルモン(ステロイド)や抗がん剤の骨への影響は?

 遠藤 : 乳がんや前立腺がんは、ホルモンをコントロールする薬や抑える薬が使われています。骨のチェックをして、骨粗鬆症という観点から治療が必要になるかもしれません。

 副腎質ホルモンは膠原(こうげん)病やぜんそくに使うことや、臓器の移植後、免疫の力を抑えるために使うこともあります。プレドニン、プレドニゾロンという薬は、骨の代謝、骨の細胞に影響します。プレドニンを1日5mg程度、3カ月間服用する方は、十分注意してください。(続く)

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