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[税と安心 一体改革の行方](1)消費税25%、北欧は納得

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 「消費税国会」が始まって1か月。「無駄の削減が先」「景気が悪い時に増税などとんでもない」という慎重論も根強い中、なぜ消費税率引き上げが必要なのか。その結果、どんな社会保障の将来像を描けるのか。海外事情も含め、“生活者の視点”から、社会保障・税一体改革の意味を考える。

安い保育料/育休8割補償/大学無料

天気の良い日曜日、公園に集まる大勢の子供連れ。スウェーデンでは、男性も積極的に育児に参加する(1月、ストックホルムで)=安田武晴撮影

 「子供の未来に、特に不安はない」。スウェーデンの首都ストックホルムの集合住宅で、3歳と1歳半の子供を育てるマティアス・ボリーンさん(34)と妻のインゲルさん(34)が口をそろえる。

 ともにIT(情報技術)関連企業の会社員。平均月収は計7万クローナ(約84万円)を超え、所得税などで3割近い約2万クローナ(約24万円)が源泉徴収される。日本の消費税に当たる付加価値税の税率は原則25%。「確かに税金は高い。だけど納得できる」とマティアスさんは言う。

 それというのも、保育園の費用の大半は市の予算で賄われ、自己負担は2人分で月約1700クローナ(約2万円)。16歳になるまで国から児童手当が支給され、月額2250クローナ(約2万7000円)を受け取れる。授業料も、小学校から大学まで無料だ。

 息子がそれぞれ1歳になるまで、夫婦交代で育児休業をとった時は、給料の80%が国から支給された。インゲルさんは「この国では男女がともに働き、子育てするのが普通。とてもいい環境よ」と笑顔を見せる。

 高負担への納得感は、子育て世帯だけに限らない。

 ストックホルムの職業安定所で、効果的な履歴書の書き方の講習を無料で受けていた男性(27)は、職を失って1年以上たったが、月約1万クローナ(約12万円)の失業手当を受け取っている。男性は「お陰で生活費の心配をせずに職探しに専念できる」と話す。

 スウェーデンの社会保障の特徴は何か。ペール・ヌーデル前財務相の説明は明快だ。「高齢者や低所得者だけでなく、あらゆる世代に給付がある。普遍的な給付のために負担は高くなるが、納めた税金が確実に戻ってくるとの実感があるから国民は負担を受け入れるし、世代間の対立もない」

子育て世代、余裕ない日本

 一方の日本。東京都武蔵野市の夫婦(夫43歳、妻41歳)は、2人合わせて月約64万円を稼ぐ。税金と社会保険料で13万5000円(月収の約21%)が引かれる。消費税率は5%。スウェーデンに比べると負担は低いが、家計が楽という実感はない。小学2年生と2歳の息子の保育・教育費に月11万円以上の費用がかかるからだ。

 特に「痛い」のは、次男が通う認可外保育所の保育料、月約7万円。認可保育所なら半額で済むが、数が足りずに入れない。入所の優先順位を上げるため、妻は仕事を掛け持ちしたが駄目だった。市の保育助成が毎月2万円出るものの、子育てにはお金がかかると痛感する。「今は夫の両親と同居なので何とかなっているが、将来のことを考えると……」と妻は顔を曇らせた。

 民間機関「家計の見直し相談センター」(東京)の藤川太代表は「高齢世代には、年金収入などがあるため、資産を取り崩さずに生活でき、家のリフォームや海外旅行もできる人が少なくない。それに比べ、40歳代以下の多くは教育費と住宅費で家計がぎりぎり。老後資金の準備ができない世帯が目立つ」と分析する。

 大和総研の試算によると、消費税率が10%になると、40歳以上(妻は専業主婦)で子供2人、年収500万円の世帯では年間17万円近い負担増となる。「この金額を蓄えるのも厳しい家庭が多い」(藤川さん)が、増税分が保育所増設などに振り向けられれば、子育て世帯の負担は軽くなり、社会保障への信頼も増す。増税しなければ、現役・将来世代へのツケはますます膨らむだけに、負担に見合った支援の充実が欠かせない。

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