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増える高齢者虐待の背景

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 高齢者虐待が増え続けているそうですね。なぜでしょうか?

介護の負担が引き金に

作図・デザイン課 伊藤僚佑太

 社会の高齢化とともに、高齢者虐待が大きな問題となっている。今月中旬にも、神戸市の有料老人ホームで、入居者のほおをたたくなどの暴行を加えた容疑で、当時職員だった介護福祉士ら3人の男女が逮捕された。

 厚生労働省の調査によると、昨年度、家庭内で起きた高齢者虐待は1万6668件にのぼる。特別養護老人ホームなど施設内での虐待も96件あった。ともに調査が始まった2006年度以降、4年連続で増え、そのペースは高齢者数の伸びを上回っている。06年に高齢者虐待防止法が施行され、通報が義務づけられたことなどによって表面化しやすくなったことが大きく影響している。

 家庭内虐待では、被害者で要介護認定を受けている人の7割が認知症だった。意思の疎通がしにくく、介護の負担が大きいため、虐待につながりやすい。認知症の高齢者が増えていることが、虐待の増加に拍車をかけているとみられる。

 加害者は息子(43%)、夫(17%)など、男性が多い。少子高齢化の影響で男性が介護を担うことが増えたほか、慣れない家事や介護の負担が虐待の引き金になっているようだ。

 施設内では、加害者の76%が介護職員だ。現場の人手不足を背景に、必要な介護をしなかったり、過密労働のストレスで暴力をふるったりする虐待につながっている可能性がある。

 高齢者虐待防止法では、市町村が虐待防止に取り組むことが義務づけられている。対応マニュアルの策定や、住民のネットワーク作りなどが進められているものの、実施率はまだ5~8割程度にとどまっている。

 虐待を防ぐためには、介護者の負担を軽くすることが重要だ。高齢者が必要な福祉・介護サービスを利用できるよう、支援をもっと充実させる必要がある。さらに、家族や介護職員に対し、認知症の人への理解を深めるための研修を行うなど、多角的な取り組みが求められている。(飯田祐子)

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