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骨の病気 ―― 予防 ・ 診断 ・ 治療の最前線

イベント・フォーラム

(1) 講演 「骨粗鬆症」 栄養と運動が大切

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 骨粗鬆症、変形性膝関節症、腰痛、骨折「骨の病気 ―― 予防・診断・治療の最前線」が1月14日「東京・有楽町のよみうりホール」で開催されました。その模様を紹介します。

講演者 : 遠藤 直人 氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科 整形外科学分野 教授)

 1980年 新潟大学医学部卒業。山形県鶴岡市立荘内病院、新潟県柏崎市厚生連刈羽郡総合病院、新潟県立十日町病院、米国メルク社などを経て1999年 新潟大学医学部教授、2001年より現職。

 

遠藤 直人 氏

 骨粗鬆症は高齢者だけでなく、20代から30代の若い方にもみられます。大半は女性ですが、男性にもあります。現在、1,300万人が骨粗鬆症とも推測されて、身の回りに大勢いる現状です。

 骨粗鬆症は骨密度が低いだけが問題ではありません。骨粗鬆症は骨が脆いために骨折し、生活の質の低下につながります。そして最後には寝たきりの危険があり、家族に大きな負担がかかってしまいます。

 骨はチョークみたいな一様の組織ではありません。骨の中にはたくさん細胞が入っています。中でも重要な細胞は「破骨細胞」で、骨を吸収して壊します。もう一つは「骨芽細胞」という骨を作る細胞です。この2つがうまく密に連携をとり、骨を作ったり壊したり、骨の新陳代謝を行っております。骨はまさに生きている状態なのです。

 このバランスが崩れ、骨の吸収が形成よりも上回ってしまうのが骨粗鬆症です。つまり、骨の入ってくる部分と出る部分のバランスが取れない「骨の赤字決算」と考えてください。

 どのような方が心配でしょうか。1つは骨の密度が少ない人。そして「骨折歴」です。例えば、脊椎の骨を骨折すると、次に骨折をするリスクが高い。高齢になるほど骨折をしやすくなります。もう1つは、「母親の骨折歴」です。母親と娘の関係は非常に密なる関係があり、母親が骨折をしたことがある方は十分注意してください。

 飲酒、喫煙、運動不足、カルシウム不足も骨折を起こしやすくなります。最近、ビタミンD不足が注目されています。大腿骨の近位部(頸部)骨折や脊椎の骨折は、ビタミンDが不足している方が非常に多いといえます。

 骨粗鬆症の治療と予防を考える上で、3つ提案したいと思います。

 (1)骨折が次に骨折を生む連鎖を断ち切る目標を立てる(2)1人ひとりが運動、栄養、食事に努力する(3)これで不足の場合は薬物を使う――。

 大切な栄養はカルシウムだけでなく、ビタミンDが含まれた魚やキノコ類、ビタミンKの納豆、緑色野菜の摂取があります。1日15分でもお日様にあたるのは有効です。またリンを取りすぎないこと。リンがたくさん含まれているインスタント食品を多く取ると、カルシウムがあまり体内に入らなくなってしまいます。

 運動も大事です。特に散歩と片足立ちがお勧めです。1日3回、1分間片足立ちしますと、理論的には50分間散歩したことに相当します。ただし、くれぐれも転ばないように。初めから1分間を目指すのではなく、最初は10秒でも15秒でもいい。そこから少しずつ時間を延ばしてください。

 栄養と運動が不足している時に、薬を上乗せして対応します。薬だけに頼るのではなく、栄養と運動にプラスして薬、と考えてください。骨の吸収を抑えたり、骨の形成を高めたりと、いろいろな薬があります。

 自分の骨の状態に合わせて薬を使い分けることが大事です。薬は、3日や1週間使っても効くものではありません。長く続けることが大切です。

 骨の健康のため、子どもの頃から丈夫な骨を作ることを目標にしましょう。高齢者になって困らないために、いかに大きく丈夫な骨を作り、骨を維持することが重要です。その重要なキーパーソンはお母さん、主婦の方です。(続く)

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