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辻井伸行さんの母 辻井いつ子さん 51

一病息災

[辻井伸行さんの母 辻井いつ子さん]視覚障害(3)2歳で「ジングルベル」伴奏

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 「脚でリズムを刻んでいるのでは」。半信半疑の思いはすぐ確信に変わった。

 ショパンのピアノ曲「英雄ポロネーズ」のCDが、毎日のかけ過ぎで傷み、別のピアニストが演奏する同曲のCDを買って家で聴いた時のこと。伸行さんは不機嫌な表情になり、脚のバタバタを止めた。何度かけても同じだった。

 「まさか」と思いつつ、前と同じスタニスラフ・ブーニン演奏のCDを買った。かけた途端、にぎやかなバタバタ音が再開した。

 「音楽にすごく敏感なんだ」。将来、プロの道に進むとは想像もしなかったが、「好きな音楽にかかわって心豊かな人になってほしい」と願うようになった。

 ただ、音の敏感さにはマイナス面もあった。掃除機や洗濯機の音に過敏に反応し、泣き叫ぶ。最初は理由が分からず、途方に暮れたこともあった。

 1歳半。伸行さんはピアノのレッスンを始めた。先生と一緒にピアノに向かい、親指でドレミを弾いたり、先生のひざの上で生演奏を聴いたりした。

 1990年暮れ。料理中にジングルベルのメロディーを口ずさんでいると、ジングルベルのピアノ音が聞こえてきた。最初はラジオかと思ったが、口ずさむ音の伴奏になっていた。

 驚いて駆け込んだ隣室。2歳3か月の伸行さんが、白いおもちゃのピアノの鍵盤を両手でたたいていた。

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