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市民公開講座(1)医療と薬の世界に絶対はない…問われる患者側の姿勢

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「薬のリスクベネフィット:薬物治療の光と陰」

 第32回日本臨床薬理学会年会(年会長:渡邉裕司 浜松医科大学教授)が、2011年12月1日から3日まで静岡県浜松市のアクトシティ浜松で開催され、市民公開講座や座談会などを通して、参加者は様々な立場から医学の進歩と医薬品開発が患者や国民にどのように貢献できるのかを語り合いました。

 多大な有効性を期待できる反面、副作用を伴う薬物治療について、患者や社会との接点を切り口に様々な立場のパネリストが意見を交換しました。

 司会 景山 茂(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 薬物治療学研究室)、渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学・臨床薬理内科)

 ――人々の健康の向上を目的に、新たに生み出される医薬品。しかし、その一方で避けては通れない副作用などのリスク。薬物治療における“光と陰”の関係でもある、避けることのできないこの2つの側面をどのように捉えていますか。

坂上 博氏読売新聞医療情報部

 坂上 私がこれまで読売新聞医療情報部で取材をしてきて、薬の光と陰という意味で特に忘れられないのが、「サリドマイド」の例です。日本では50年代末から60年代初めに睡眠薬として処方されていましたが、妊婦が使用すると胎児に副作用が出ることが後に判明し、以降使われなくなりました。

 ところがその後、海外の研究で多発性骨髄腫に効果があると分かりました。そこで日本でも承認を求める活動が起こり、08年に再び認可されるに至りました。ただし、使用にあたっての条件が厳しく、必要とする患者の元に届きにくい状況もありました。

 二度と薬害を起こしてはいけないのは当然ですが、薬に希望を託す患者さんには届けてほしいと思います。薬害被害者と骨髄腫患者、両者の気持ちを酌むことの難しさを感じました。

海老原 格氏くすりの適正使用協議会 理事長

 海老原 薬の効果には、その薬が承認に至る過程で厳しく審査された分量や投与期間などを守ることが前提にあると思います。ところが実際には、そのルールが守られていないのが現実です。

 製薬企業、医療従事者が適正な製造と診断・処方をしたとしても、最終的に患者が適正な使用方法を知らなかったり、守っていなかったりすれば、その薬の本当の価値は発揮できないのです。薬を正しく使うためには、一般の方にも医薬品リテラシーを高めていただく必要があるのです。
もちろん、そのための情報提供は不可欠です。使用する側も“リスクとベネフィット”を理解することが、医薬品の適正使用につながると考えています。(続く)

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