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日野原重明の100歳からの人生

介護・シニア

老いる味覚…人生も「味気なく」

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 「人生が味気なくなる」という言葉は青年時代には聞いてきたが、年を取ると生活がなんとなく味気なくなる。ものの味がなくなると、勿論食事が進まず元気が出なくなる。

脳の嗅覚中枢に、味覚情報も伝達

 そこで人間にとって味はどこから起こるかをまず説明してみよう。人間の鼻腔は臭いを司る臭細胞の上皮があり、その中に臭いの受容体(レセプター)があって、それが電気的エネルギーとなって、臭球に伝えられ、反対側の前頭葉の臭覚中枢に達し、人は臭いの感覚を持つ。ここには味覚情報も伝えられる。

 ところが、高齢者では臭い感覚が鈍くなり、薔薇(ばら)の花の匂いや野菜の臭い、薬の臭いに鈍感になる。老人が食欲がなくなるのは、以上の原因によると考えられている。

臭感覚の低下、服薬で起こることも

 ところが、この臭感覚の低下は、医師からの服薬の処方で起こることが少なくない。

 老人になると、一人の患者で内科、耳鼻科、泌尿器科、整形外科医にかかっていることが多く、それぞれの医師からの処方の薬の相乗作用で、臭覚麻痺を起すことが多い。そこでかかりつけ医に相談しても他科の薬の知識は少ないので、これはむしろ開業薬剤師に相談した方がよい。

嗅覚低下すると、味覚も衰え

 臭覚が下がると、味覚も多少衰えるが、味覚の方が老化による影響はまだ少ないといえよう。

 また、温室とか、薔薇園の中にしばらくいると、花の香りや果実の臭いの感覚が鈍くなってしまうのである。

 家が火事になっても、老人は木が煙る臭いを感じるのが遅くなり、煙が立ち込めて初めて火事だと分かり、逃げ遅れて死ぬことはよくあることである。

治療早く受けて、嗅覚障害防止を

 その老人が風邪をひいたりすると、鼻腔に膿汁がたまり、臭覚は一層悪くなる。老人の鼻に病気があれば、早く治療を受けることにより臭覚障害になることが防がれるのである。

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日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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