宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
出産は「始まり」でしかない
早くも2月になりました。冷え込む日が続くので、娘のいる部屋を断続的にガスファンヒーターで暖めているのですが、ひどく乾燥して娘も私も肌がカサカサです。沐(もく)浴の後にベビーローションとオイルを塗っているのですが、追いついていない様子。私も軽く鼻風邪を引いたようです。体調管理の難しい季節ですね。
保健師さんが来てくれた!

生後4週間が経過し、娘は「新生児」から「乳児」になりました。
先週、区役所の子育て支援係から保健師さんが訪問してくれました。大きくなっているか計測してもらったところ、体重が3200g くらいに増えていました。出生体重と比べると300g そこそこしか増えていないのですが、先々週ようやく出生体重に戻ったことを考えると、その後はとても順調に大きくなっています。
母乳も授乳1回当たり60~80ml 出ていたし、新生児用のオムツもちょっとずつパツパツになってきているので、それほど心配してはいませんでしたが、保健師さんに「大丈夫」と言ってもらえると安心できます。
産後うつ病のチェック
そして保健師さんから私には3つの問診票がわたされました。「育児支援チェックシート」「エジンバラ産後うつ病問診票」「赤ちゃんへの気持ち問診票」です。
「育児支援チェックシート」は産後うつ病の危険因子、育児を困難にする背景や要因のチェックするためのものです。「エジンバラ産後うつ病問診票」は産後うつ病のスクリーニング票として英国で開発されたもので、母親の抑うつ感や不安を評価するためのものです。「赤ちゃんへの気持ち問診票」は育児の負担や赤ちゃんへの様々な気持ちを評価するために開発されたもので、赤ちゃんへの否定的な気持ちの有無、虐待の危険性の有無をチェックするためのものです。
ちょうどこれらは、私が研究に使っているものなので、なじみ深いものでした。自分で答えたのは初めてでしたが、元々ポジティブな性格で、実家で上げ膳据え膳の不自由ない生活を送っていて、赤ちゃんがかわいくて仕方ないという私は、スクリーニングに引っかかりませんでした。
大切な育児環境の確認
家庭を実際に訪問して母親と面談し、赤ちゃんの発育具合や育児援助者の有無などの家庭環境をチェックしてくれる保健師の訪問制度はとても重要だと思います。
以前、割と社会的にリスクの高い妊婦さんが多い地域の総合病院に勤めていたことがあったのですが、出産の入院中から助産師たちが積極的に母親に関わりをもち、リスクがないかチェックし、赤ちゃんを受け入れ、育児不安を解消するように努めていました。(残念ながら忙しくて母親の育児環境などのバックグラウンドまでスタッフが踏み込めていない産院も多いようです)。
リスク因子とは具体的に、シングルマザーや経済的に困っている家庭、若年妊娠や望まぬ妊娠、また妊娠・出産の経過に異常があった、または赤ちゃんに病気などの問題があったケースなどで、場合によっては病院から保健師に連絡するなど行政と連携して育児支援をするというものです。
現時点ではスクリーニングに引っかかっていない私ですが、夜中に娘が延々と泣いて、オムツを変えてもお乳をあげても泣き止まず、娘をゆさゆさとゆすりながら部屋の中をうろうろ歩き回っている時には、環境が整っていない中での育児は大変だろうなあ、とふと思います。
産後うつ病は10~20%の母親に起こると言われ、決してまれではありません。児童虐待の死亡事例の4割が0歳児です。母子の健康のためには、病院と行政の両方のスクリーニングと相談窓口がしっかり機能することが大切だと思います。
出産は「始まり」でしかない
産婦人科医になりたての頃は、とにかく母児共に健康に出産を終えることに重点を置いて診療していました。でも、年月が経つにつれ、それは始まりでしかなく、サポートすべきことがたくさんあることに気づかされました。
今、自分が大勢の人に支えてもらいながら順調に育児を始めることが出来たことに感謝して、復帰したら診療に生かせるといいなあと思います。
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役割は人それぞれかと
専業主婦です
LALALAさんのように高学歴で、ご友人が皆、キャリアを継続している場合、専業主婦であることで、肩身が狭いように感じられるかもしれませんね。でも...
LALALAさんのように高学歴で、ご友人が皆、キャリアを継続している場合、
専業主婦であることで、肩身が狭いように感じられるかもしれませんね。
でもですよ。専業主婦だからこそ、できることもいろいろありますよね。
よそのお子さんに目くばりしたり、遊び場を提供したり、
美味しいおやつを作ってあげたり、親に言えない相談に乗ったり…。
働いているキャリアウーマンのお母さんには難しいことを、
専業主婦のお母さんたちがフォローするのは、
いちばん身近な社会奉仕、ボランティアと思うことは難しいでしょうか?
医師一人を養成するには、長い時間と、多くの税金が必要です。
育成した貴重な人材は、その能力を社会に還元していただいてこそ意味があり、
家庭にこもられては、費やされた時間とお金がムダになると思います。
上とか下ではなく、医師には医師の、専業主婦には専業主婦の役割があり、
社会が円滑にまわっていくためには、どちらもだいじと考えるのは難しいでしょうか?
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最初のコメントは
通りすがりのオバサンです。
最初のコメントはすでに見えませんが、途中から拝見しました。LaLaLaさん、今回は「このブログで、多くの人に、サポートしてくれることへの感謝、サ...
最初のコメントはすでに見えませんが、途中から拝見しました。
LaLaLaさん、今回は
「このブログで、多くの人に、サポートしてくれることへの感謝、サポートが無い人もいることに気付いてもらえるといいですね」がお話したい事ですよね?
その後の文章はちょっと感情的ではないかと思います。
もっと広く支持を貰いおっしゃりたい事が浸透するためには改めてブログを作られたらいかがでしょう?
実際に居なくては成り立たない宋先生の様な職種の方、やむなく仕事をしなくては生活出来ない方も多いのです。お母さんでもキャリアウーマンでも志の高い方から常識が無い方まで色々です。一部の人を見て「上から目線」ばかりだと思わないでね。
しかし、これは第三者の私でも不愉快に感じました。↓
「そして、やはり、復帰を考えているんですね。実家でラクして、外出まで楽しんでいるのなら、布おむつくらい使ったらどうですか?旦那さんの身の回りのこともしていないようですし、ホントに一体どこまで怠けるのかっ!!!っで、それで、復帰して、何を患者さんに言えるのでしょうか?」
世の中のマダムで外出を楽しんでシッタ―に預けて海外旅行まで行く人も多い中、産婦人科に復帰して患者さんと赤ちゃんの手助けをしようとする人にちょっと失礼ではないですか?ちなみに看護師さんのほとんどが子持ちです。でも本当に頑張っています。本当はもっと自分のお子さんと関わりたいのに出来ない苦しみもあります。逆にそちらにも理解頂きたいと思います。
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4月復帰?との噂を聞きました。
僻地の産科医
もう4月から当直にはいられるとの噂を聞きました。難しいとは思いますが、子供のために頭を下げる回数が増えます。無理解な人も多いです。あと特別扱いも...
もう4月から当直にはいられるとの噂を聞きました。
難しいとは思いますが、子供のために頭を下げる回数が増えます。
無理解な人も多いです。あと特別扱いも嫌ですが、
全くなんの考慮もされない場面も多いです。
出産前と同じ自分像を普通に求められます。
身体が弱っていること忘れないで下さいね。
ゆっくり妊娠中に無理した身体はすぐに戻らないし、
体力の低下や寝不足は実感します。
主張できそうで出来なかったりするから、
上手に主張して下さいね。
会える時間が短いから、何日も帰れなかったりするから、
そういう時疲れているけれど。
優しいお母さんで接せれたら接してあげてくださいね。
私の場合は子供に関心が持てなく待った時、
うっとおしい時が過労のサインです。かなり簡単に陥ります。
ま、当直含めて週の院内滞在100時間とか平気でありますからね。
誰のせいでもなく人員不足ですが、
ちょっと遠ざかって休息を取ってくださいね。
頑張り屋さんなのでちょっとだけ心配です。
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