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(6)受給中の金額改定

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  年金は、受け取り始めた後も金額が改定されるようですが、どんな仕組みですか。

実質価値の目減り続く

 お金の実質価値は、物価が上昇すれば目減りします。生活の柱となる年金がそれでは困ります。そこで、年金の実質価値を維持し、老後生活を安定させるため、受給開始後の年金額を物価の変動に応じて改定する仕組みが設けられています。「物価スライド」と言います。

 通常なら物価は上昇していきますから、これは公的年金の大きなメリットの一つです。ただ、近年は物価が下落するデフレ経済が続き、ありがたみが薄れています。

 年金額の改定は毎年4月、前年の全国消費者物価指数の変動率を基準に実施します。

 ただし、今は物価変動率がそのまま適用されるわけではありません。2004年の年金改正で、二つの変則的なルールが導入されたためです。

 一つは、本来より高くなっている今の支給額を元に戻すためのルール。もう一つは、少子高齢化による年金財政の悪化に対応し、給付水準を徐々に引き下げるためのルールです。これにより、今後しばらくは実質価値の目減りが続きます。

 今の年金額は、過去の物価下落時に受給者の反発を恐れて引き下げなかったため、本来より2・5%高くなっています。04年改正では、その分を解消するまで、物価が上がっても年金額を据え置くことにしました。一方、物価が下がった場合の減額には制限を設けました。

 しかし、物価の下落傾向が続き、このルールでは一向に解消されず年金は高止まりしたまま。そこで、政府は6日にまとめた社会保障・税一体改革素案で、12年度から3年間での解消を打ち出しました。12年度は4月の物価スライドと別に10月に0・9%減額。13、14年度は4月に0・8%ずつ減額する方向で、物価変動率から差し引いて年金額を改定します。

 その後も、通常の物価スライドには戻りません。二つ目の給付水準を引き下げるルールのためです。「マクロ経済スライド」といって、物価の上昇率より年金の増額率を小さくして実質価値を下げる仕組みです。年金の増額率は物価上昇率より0・9%程度低くなる見通し。財政安定にメドがつくまで実施されます。

 ただ、デフレ下では適用しないルールなので、開始が遅れています。38年度と見込まれた終了時期も、ずれ込む可能性があります。(林真奈美)

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