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元首相 安倍晋三さん 57

一病息災

[元首相 安倍晋三さん]潰瘍性大腸炎(3)新タイプの薬で「克服した」

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 腸全体がただれるほど悪化した1998年ごろ、3か月の入院を余儀なくされた。食事をとらずステロイド薬の点滴を続けたが、改善せず、体重は60キロ台から40キロ台に激減した。大学病院に転院し、食事をとりながらの治療に切り替え、ようやく快方に向かった。

 「手術で大腸を切除することも検討されましたが、それだと活動が制約され、政治家を続けられない。それは避けたかった」

 苦しむ姿を間近で見てきた妻・昭恵さんは「あなた、政治家を辞めて。こんな状況になってできるわけないでしょ」と懇願した。「政治家以外にやりたいことないの?」とまで詰め寄られた。自分でも弱気になりかけたが、志半ばでの引退は考えられなかった。

 大腸摘出は免れたものの、再発の不安は残った。内閣官房副長官として森喜朗首相の外遊に同行した時は、「首脳会談を中座してトイレに駆け込むわけにいかない」と、恐怖に似た思いを味わった。「それはなくて済みましたが、当時はどこでもトイレの位置を確認し、用心していました」

 そんなころ、新たに浣腸(かんちょう)するタイプの薬を使い始め、光が見えてきた。症状をコントロールできるようになり、自民党幹事長、内閣官房長官を無事こなし、「持病を克服した」と思えた。

 その自信に後押しされ、首相への階段を一気に駆け上がった。

【一病息災・潰瘍性大腸炎】

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