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「胃もたれ」は病気? 胃腸症を改善する漢方薬
忘年会、クリスマス、正月休み、新年会と胃が休まる暇もなく、「胃がもたれる」と感じている方も多いのではないでしょうか。よく「胃もたれ」という言葉を耳にしますが、胃もたれは病気でしょうか。
食べものは、胃の中で消化された後に小腸へ送られます。しかし、暴飲暴食やストレス、不眠などによって胃の働きが弱くなると、消化が遅くなったり、小腸への送り出しが充分に出来なくなったりします。これが、胃もたれと呼ばれる状態です。胃がんやポリープ、潰瘍といった病気でも同じ症状がみられることもありますので、一度は胃の検査を受けるべきと思います。
一方で、このような症状があるにもかかわらず、胃の検査で異常がみられないこともあります。このような場合、以前は「明確な(器質的な)病気がない」という意味で、慢性胃炎や神経性胃炎、胃下垂、胃アトニー、胃痙攣(けいれん)などと診断されていました。しかし、最近は、胃の機能が悪くなった状態と考えられるようになり、「機能性胃腸症」と呼ばれています。胃の動き(蠕動〈ぜんどう〉運動)は自律神経によってコントロールされていますが、様々な要因で自律神経のバランスに異常が起きて、胃の動きが悪くなるのです。
しかし、機能性胃腸症という診断がついたからといっても、特効薬があるわけではありません。一般には胃の運動を調整する薬や胃酸の分泌を止める薬が用いられますが、その有効率は高いものではなく、効果が得られない時にはストレスを緩和する薬が併用されたりします。
機能性胃腸症に有効な漢方薬とは・・・
では、機能性胃腸症に有効な治療薬はないのでしょうか。
最近、機能性胃腸症に対しても漢方薬が非常によく使用されています。漢方医学では、胃もたれは「気」が不足した気虚や「気」の巡りが悪くなった気鬱(きうつ)、「水」のバランスが悪くなった「水毒」が関係して生じる症状と考えています。
そこで、気を補う作用のある六君子湯(りっくんしとう)や人参湯(にんじんとう)、気の巡りを改善する作用のある二陳湯(にちんとう)や帰脾湯(きひとう)、四逆散(しぎゃくさん)、胃の辺りの水毒を改善する茯苓飲(ぶくりょういん)や平胃散(へいいさん)などが用いられています。
中でも六君子湯は、機能性胃腸症に対する第一選択薬として用いられていて、最近では、どうして効くのかといった研究も盛んに行われています。六君子湯の効果には、胃の蠕動運動を正常化させる作用や「グレリン」という食欲増進ホルモンを増やす作用などが関係すると報告されていて、今後、さらに解明されると思われます。
胃もたれは非常に苦痛な症状であり、その原因を取り除くべきです。特に機能性胃腸症と診断された場合は、適切な漢方薬を服用することをお勧めします。
機能性胃腸症に有効な漢方薬 |
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六君子湯 (りっくんしとう)
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人参湯 (にんじんとう)
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二陳湯 (にちんとう)
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帰脾湯 (きひとう)
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四逆散 (しぎゃくさん)
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茯苓飲 (ぶくりょういん)
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平胃散 (へいいさん)
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【参考:漢方薬に関する詳細は、QLife漢方(キューライフ)へ】 |
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春ごろからおなかゴロゴロあちこちしくしく内視鏡、超音波は二回しても異常なし。胃下垂でやせて子供の頃から胃腸が弱く、神経質です。いまほちゅうえっきとうかどちらを飲めばいいか迷っています。医者もらったエクセラーゼものんでいますがいままであんちゅうさんなども飲みましたが迷いはます。
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勉強になりました。
sariyuku.monoyori
「六君子湯」は約2年前から服用しています。以前、”食欲不振”で、と言った漢方薬はこの薬です。拝読して頷く点もあり、納得です。有難うございました。
「六君子湯」は約2年前から服用しています。以前、”食欲不振”で、と言った漢方薬はこの薬です。
拝読して頷く点もあり、納得です。有難うございました。
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