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認知症フォーラム「あきらめない~最新医療と社会の支え~」

イベント・フォーラム

基調講演・認知症と間違われやすい事例も

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 認知症フォーラム「あきらめない~最新医療と社会の支え」が11月7日、神奈川県相模原市の市民会館で開かれ、患者の家族ら約1200人が参加した。基調講演では、北里大東病院副院長の宮岡等さんが、認知症でないのに認知症と間違われやすい事例について解説。続くパネル討論では、第1部で認知症の最新医療、第2部で認知症のケアをテーマに、国立長寿医療研究センター内科総合診療部長の遠藤英俊さんらが話し合った。

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 主催 読売新聞社、NHK横浜放送局、NHK厚生文化事業団

 後援 厚生労働省、神奈川県相模原市、認知症の人と家族の会

 協賛 ツムラ

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原因、よく調べよう…北里大東病院(相模原市)副院長 宮岡等さん

みやおか・ひとし 1981年、慶応大医学部卒。東京都済生会中央病院、昭和大などを経て、99年に北里大医学部精神科学主任教授。2006年4月から現職を兼務。

 医療機関で認知症と診断されたが実は認知症ではなかった、という事例はしばしば見られます。そのようなケースとして、うつ病と「軽い意識障害」と呼ばれる状態が挙げられます。

 うつ病の方は大抵、思考のスピードが遅くなりがちです。じっくり時間をかけて話を聞かなければ、「こちらの言っていることが分からないから、この人は認知症だ」と誤って判断することが起きやすくなります。例えば今日の日付や今いる場所を尋ねると、認知症の人は間違えることが多いのですが、うつ病の人であれば、ゆっくり聞けばちゃんと答えられます。

 一方、「軽い意識障害」と呼ばれる状態は、周囲の方から「ぼーっとしている」と見えやすいようです。肝臓や腎臓、甲状腺など体の機能のどこかに問題がある時に起こることが多い状態です。計算ができなかったり、受け答えがあいまいになったり、といった症状が表れますが、病気の治療が進めば改善することも多いのです。このほか、薬の影響でそのような状態になることもあります。

 最近、「認知症の周辺症状」(BPSD)という言葉をよく耳にします。▽物を盗まれたと思い込む(妄想)▽興奮して暴力的になる▽徘徊(はいかい)する――などがあります。

 気になるのは、少しばかり興奮して攻撃的になったり、歩き回ったりするだけで、「これは認知症の周辺症状です。薬を使いましょう」というように、安易に投薬されるケースが多いように思えることです。

 原因をよく調べたら、眼鏡が危険物として取り上げられてよく見えなくてイライラしていたり、介護する人の態度に問題があって腹を立てて攻撃的になっていたり、というようなことも多いのです。本人の話をじっくりと聞き、介護者らにも尋ねて原因を突き止め、対応すれば、薬を使わなくても、症状が治まることがあります。原因を考えないまま、安易に薬を出すのはよくありません。

 さて、ここ相模原市での認知症に関する取り組みを二つ紹介します。

 北里大東病院を中心とした市内の医療機関で、2~3年先をめどに、認知症診療の地域ネットワークを作ることを目指しています。まず地域の診療所などで専門医でない医師が診て、診断が難しければ専門医が診る。さらに必要があれば東病院などに入院し、よくなれば再び地域で診てもらう。このように、適切な診療が順調に進むよう、医療機関の連携を深めます。

 また、市の精神保健福祉センターで、認知症のセカンドオピニオン(別の医師の意見)外来を開いており、私も相談員を務めています。より適切な医療を実現することが目的です。ご家族の認知症などについて相談したいことがありましたら、ぜひご利用いただきたいと思います。

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