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肺炎球菌ワクチンで自衛

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高齢者の重症化多く

 風邪やインフルエンザにかかったことがきっかけで肺炎を併発し、亡くなる高齢者は少なくない。専門家は、予防のために「肺炎球菌ワクチン」を接種するよう勧めている。現在、一部地域で品薄状態が起きているが、来年2月には、十分に供給される見通しだ。

 タクシー運転手の70代男性は12月上旬、肺炎球菌ワクチンを接種するため、「日本医科大学呼吸ケアクリニック」(東京)を訪れた。「職業柄、多くの人と接触する。接種しておいた方が安心と思った」と受診理由を話したという。クリニック所長の木田厚瑞(こうずい)さんは「接種を希望する高齢者が増えている。肺炎を予防するためには有効な手段です」と話す。

 肺炎は、細菌やウイルスが肺に入って炎症を起こす病気だ。年間約11万人が亡くなるが、その97%を65歳以上が占める。木田さんは、「細菌性肺炎にかかる人の約3割は肺炎球菌が原因」と指摘。肺炎球菌は健康な人の鼻腔(びくう)内などにも存在するありふれた細菌だが、風邪やインフルエンザなどで免疫力が低下したり、栄養状態が悪くなったりすると肺炎を引き起こす。

効果、5年以上持続

 そこで、予防策として期待されているのが肺炎球菌ワクチン。1回接種すれば5年以上は免疫が維持されるといわれる。費用は、自由診療のため医療機関によって異なり、7000~8000円程度。接種後約3週間で効果が出るという。

 ワクチン製造元の製薬会社「MSD」(東京)によると、新型インフルエンザが世界的に流行した2009年から、肺炎球菌ワクチンへの関心が高まってきた。

 そのころから接種費用を助成する自治体も増加。重い肺炎で入院する人が増えれば高額な医療費で財政が圧迫されることもあり、予防に力を入れ始めたようだ。MSDによると、現在、約650の自治体が、費用の一部または全額を助成。今年11月の接種者数は、昨年同期比で約4倍にものぼった。

 そのため、12月中旬から一部の地域でワクチンの品薄状態も起き始めている。「205万人分のワクチンを用意していたが、接種希望者数が想定を上回った。ただし、東日本大震災の被災地となった宮城、岩手、福島の3県には優先的にワクチンを供給しています」とMSDの担当者は説明する。

 同社では、医療機関と接種希望者に対し、「ワクチン接種の予約をできる限り延期してほしい」とするおわび状をそれぞれ作成。約2000人の営業担当者などが医師らに状況説明をして回っている状態だ。同社は、「2月には全国で十分な供給ができる見込み」としている。

 こうした事情に加え、ワクチンの効果を過信することも禁物だ。このワクチンは肺炎の重症化を防ぐもので、接種すれば絶対に肺炎にかからない、というわけではない。木田さんは、「風邪やインフルエンザにかからないよう、日頃から手洗いやうがいを励行し、十分な睡眠と栄養を取る規則正しい生活を心がけることが大切」と話す。口の中を清潔に保つ、飲食物が誤って気管支に入らないよう注意する、ぜんそくなど基礎疾患の治療をする、禁煙――なども肺炎予防につながると助言している。

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