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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

8人に1人、に入ってしまいました …妊娠糖尿病の闘病記

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助産師さんの許可をもらって見に行った神戸ルミナリエ


 みなさんこんにちは。街を歩くとあちこちからクリスマスソングが聞こえてきますね。私はとうとう臨月に入り、ますます動きがもたもたしてきました。

 お腹も見事なくらいに大きくなってきたので、「産まれる前に、このお腹をカメラに収めておこう」と思い、鏡の前でべろんと服をめくると、お腹にはいくつもの青タンが…。

 これは決してDVに遭っているのではありません。実は、妊娠糖尿病と診断され、血糖値をコントロールするために毎食前にインシュリンを自分でお腹に打っているのです。



妊娠糖尿病とは


 妊娠糖尿病という病気の名前を聞きなれない方が多いかも知れませんが、昨年、診断基準が改定されて厳しくなり、全妊婦の12%が妊娠糖尿病に該当すると言われています。つまり8人に1人の割合です(施設によってスクリーニングの方法にばらつきがあり、診断されていない「隠れ妊娠糖尿病」は結構いると思われます)。

 なぜ、そのような病気になるかと言いますと、妊婦は胎児に優先的にブドウ糖を送るために胎盤からhPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)というホルモンが出て、母体の糖の代謝が悪くなります。その中で、基準を超えて血糖値が高い人は妊娠糖尿病と診断されるというわけです。

 血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんが大きくなりすぎたり、羊水が増えすぎたりして、早産や難産のリスクが増すだけでなく、お腹の中で赤ちゃんが低酸素の状態になることもあるため、診断されると血糖値をコントロールする必要があります。


お腹に青タンのわけ

血糖値測定器。指先の血を採って、血糖値を測ります
 
毎食前に、おなかに注射しているインスリン
 
 

 私の場合は、妊娠7か月の時にGCT(グルコースチャレンジテスト)というスクリーニング検査を受けました。それでひっかかったため、今度はOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)という精密検査を受け、妊娠糖尿病と診断されて大学病院を紹介されました。

 そして、食事指導を受け、食前と食後2時間の血糖値を自分で測定していたのですが、妊娠9か月に入ってから食後の血糖値が上がってきたのでインスリンを導入しました。なので、毎日、手の指に針を刺して血を絞っては血糖値を測り、毎食前にお腹に針を刺してインスリンを打っています。


 最近の医療機器の進歩は目覚ましく、針がとても細くなっているので、当たり所によっては痛みを感じますが、基本的にあまり痛くはありません。でも、お腹が大きくなって下腹部がよく見えないので、時々血管に当ててしまうようで、青タンがいくつか出来ています。


 幸い、今のところ赤ちゃんの発育は平均よりは大きめですが標準範囲内で、週に2回行っている胎児心拍モニターでも、毎回元気ピチピチです。糖尿病内科の先生と相談しながらインスリンを打っているので、血糖値のコントロールも良好です。通っている大学病院の産婦人科の管理はおそらく日本一厳しいのですが、赤ちゃんに少しでもいい子宮内環境を提供するべく頑張っています。

赤ちゃんのためカロリー摂取


 決して珍しくないはずの妊娠糖尿病ですが、正しい理解が広まっているとは言えないなあと実感しています。

 「妊娠糖尿病の原因は食べ過ぎや不摂生である」「妊娠糖尿病になったらご飯を減らさなくてはいけない」と思っている人が多いのですが、必ずしもそうではありません。

 私も、周囲から「食べ過ぎのせいでしょ」「美味しいものが好きだから」と生活習慣のせいにされ、食事療法の一環でパンを食べていると「食べちゃだめだよ!」と言われる始末。(しかも、これ全部、専門家のはずの産婦人科医と助産師に言われたもの!!)

 確かに肥満はリスク因子ですが、私はもともと痩せ型の体型で、妊娠してからも体重が思うように増えず、正常下限を下回っているので(それはそれでだめなのですが)、少なくとも「食べ過ぎ」であろうはずがないのです。

 私には母方の祖父が2型糖尿病だったという家族歴があり、医学生のころから糖負荷試験で軽い耐糖能異常が見られていたので、遺伝的・体質的に「妊娠したら妊娠糖尿病になるだろうな」と分かっていたのです。そこに更なるリスク因子「高齢出産」というのが加わって、「やっぱり」という感じで発症してしまったのであります。

 妊娠糖尿病と普通の糖尿病の違いは赤ちゃんがお腹にいること。赤ちゃんが飢えたりしないように、ある程度のカロリーは摂取しなければいけません。私の場合は1日約1900キロカロリー。毎日インスリンを打って、頑張って食べています。私は普段から「美味しいもの大好き」キャラで通っているので、みんな「食べちゃだめ!」ってからかうのが楽しいんだろうなあと思いながら。

 参考:日本糖尿病・妊娠学会のホームページのQ&Aコーナーはこちら
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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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1件 のコメント

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私も

りん

初めまして。カナダに暮らす7ヶ月の妊婦です。昨日妊娠糖尿病の検査があって、引っかかってしまいました。父方がかなりの糖尿病家系で、去年出産した従兄...

初めまして。カナダに暮らす7ヶ月の妊婦です。昨日妊娠糖尿病の検査があって、引っかかってしまいました。父方がかなりの糖尿病家系で、去年出産した従兄妹もなっていたので心配していたら案の定…色々調べて落ち込んでいて先生のブログに辿り着きました。読んで元気をもらいました。子供のためにも頑張って血糖値コントロールしようと思います!

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