ドクター柴原の漢方塾
yomiDr.記事アーカイブ
皮膚の乾燥は体質?
師走という時期とともに湿度が低下し、皮膚が乾燥してきたと感じている人もいるかと思います。皮膚の乾燥はかゆみを生じる要因にもなることから、加湿器を使用したり、保湿剤を塗布したりする方も多いのではないでしょうか。また、皮膚はかくことによってかゆみが生じることから、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患をお持ちの方は、皮膚瘙破(そうは)予防ためにも、湿度が気になる時期だろうと思います。
しかし、環境としての湿度の低下のみによって皮膚の乾燥が生じるのではありません。皮膚が乾燥するか否かは、個々の皮膚の状態によって大きく異なるのです。最近では美肌の指標として皮膚水分量が用いられるようになり、女性であれば、ご自身の皮膚水分量を測定して憂鬱(ゆううつ)になっている方もいるのではないでしょうか。皮膚が乾燥している人の中には、「皮膚の乾燥は体質だから諦めている」と言われる人もいます。本当に皮膚の乾燥は体質なのでしょうか。
皮膚の乾燥が体質であるかどうかという問題には、体質という言葉の定義が大きく関係しますので即答できませんが。少なくとも皮膚の乾燥は、その時点における体の状態を反映しているものであり、治療よって変えることが可能な症状であると言えます。
では、どのようにして皮膚の乾燥感を改善するのでしょうか。漢方医学では皮膚の乾燥も体の状態を把握するための非常に重要な症状です。気血水の一つである「血(けつ)」が不足した状態を「血虚(けっきょ)」と呼び、体が必要とする血の量を維持するのに十分な血を産生できない、あるいは血が過剰に消費されるなどの状態によって生じます。
血虚では皮膚の乾燥以外にも、顔色が悪い、眠れない、毛髪が抜けやすい、眼が疲れる、めまい感、爪の異常、こむら返り、手足のしびれといった様々な症状がみられます。これらの中でも皮膚の乾燥は血虚の非常に重要な症候です。皮膚の乾燥を体質と考えて諦めている方は、一度、漢方薬を試してみる価値があると思います。
皮膚の乾燥に対して用いられる漢方薬には、四物湯(しもつとう)や温清飲(うんせいいん)、当帰飲子(とうきいんし)などがあります。特に四物湯は、血虚の治療に用いられる代表的治療薬、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)という四つの生薬で構成されていて、この四つの生薬には血を補う作用があります。
漢方薬の使用に際しては、処方を構成しているすべての生薬が非常に重要で、一つの生薬だけを使用することはほとんどありません。これは、一つの生薬だけで効果を得るには多くの量が必要になり、副作用が生じる可能性があるので、他の生薬とともに少量ずつ用いることで、副作用を減らしていると考えられています。
皮膚の乾燥に対して用いられる漢方薬 |
---|
四物湯(しもつとう)
|
温清飲(うんせいいん)
|
当帰飲子(とうきいんし)
|
【参考:漢方薬に関する詳細は、QLife漢方(キューライフ)へ】 |
【関連記事】
ご意見があれば、お聞かせください。
sariyuku.monoyori
今回の事例ではないのですが、漢方薬は約二年前から専門医ではなく一般病院で処方していただいております。食欲不振で、です。効能はありますが他の薬と内...
今回の事例ではないのですが、漢方薬は約二年前から専門医ではなく一般病院で処方していただいております。食欲不振で、です。効能はありますが他の薬と内服しています。ただ食間なので面倒くさいのですけど。朝昼晩三回。当初、医師から言われた副作用もなく体質なのかも知れません。黄疸の症状等もありませんし。胃潰瘍があるので薬も何種類も飲んでいて呼吸器科の薬(吸入薬)も併せて服薬しているのですが特段異常はありません。
漢方で滋養強壮の薬はあるのは知っているのですが詳細は存じません。折がありましたら掲載していただけると幸いです。
栄養剤は病院からでているのですが、錠剤は良いのですが液剤が合いません。継続して液剤は貰ってはいるのです。でも医師にはその旨伝えてあります。今は飲んでいませんが、万が一ということも考慮してです。
体調不備もあるのですが、不摂生して先月一週間程入院しましたけど食欲不振の漢方は副作用はありませんし、もしかしたら漢方は身体に合っているのではないのかとおもうのです。
保健の適応以内以外は承知しております。
主治医も漢方は然程詳しくないので、なれば専門医ということは以前から考えていたのですが、栄養剤だけだからなあ と思って、そんなに気にしませんでしたが、医療コラム(ブログ)で漢方医学。勝手ですがちょうど良いとおもったのです。
前述しましたが、折がありましたら拝読いたしたくおもっております。
つづきを読む
違反報告