文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

汁物、蒸気…潜む、やけど危険物

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

入院の原因「火炎」より多く

 節電志向のこの冬。久しぶりに石油ストーブを出してきて、子どもがやけどを負わないよう気を配っている家庭も多いだろう。だが、危ないのは目に見える炎だけではない。生活の様々な場面に、やけどの危険は潜んでいる。

 「危ない」。堺市に住む男性会社員(34)は出勤前、10か月の長女を抱っこしながら熱いコーヒーを飲んでいて、頭の上にこぼしそうになった。長女が急にカップへ手を伸ばしてきたという。「とっさに身をよじったが、ヒヤッとしました」

 日本熱傷学会専門医で東京医科大教授の松村一さんは「旺盛な好奇心で何にでも手を伸ばして触ろうとするため、7か月から2歳児のやけどが目立つ」と話す。この年頃の子どもは、炊飯器や給湯ポットから噴き出す高温の蒸気に手をかざすこともある。卓上に並ぶ汁物なども、つかまり立ちした子どものちょうど真上にあることが多く、置き場所には十分な注意が必要だ。

 大人より体が小さく皮膚も薄いだけに、少量の液体でも頭から浴びると顔や口の中、上半身にかけて重いやけどを負う恐れがある。東京都内13医療機関でつくる都熱傷救急連絡協議会によると、やけどで入院した10歳未満の子どもは2005~09年度で計178人。原因別では給湯ポットや汁物など主に食卓や台所にあった高温の液体が大半で、ストーブなどの「火炎」や「浴槽転落・入浴中」よりも多い=図参照=。

 これからの時期、里帰り中もやけどが起きやすい。古いストーブなど物珍しい暖房装置が子どもの好奇心を刺激するだけでなく、大人が話に夢中になるなどして目を離しやすいからだ。

 室内にある思わぬものがやけどを引き起こす場合もある。国民生活センターには、1歳半の男児が、ノートパソコンの排気熱で低温やけどを負ったケースも報告されている。

 ストーブを囲う安全柵などのほか、最近は、蒸気を出さない炊飯器やコンセントの差し込み口をなめて起きる電撃熱傷を防ぐカバーなど、やけどを防ぐ商品が登場している。「子供の安全ネットワーク・ジャパン」幹事で吉祥院こども診療所(京都市)所長の今井博之さんは、「安全面に配慮した製品をうまく活用して、やけどを防ぐ環境を整えてほしい」と呼びかける。

 やけどをしてしまったら、一刻も早く冷やす措置が必要だ。風呂場のシャワーで流水をかけ、30分以上冷やすのが効果的だが、大阪府立中河内救命救急センター(東大阪市)医師の西山和孝さんは「冷たいと嫌がる場合にはぬらした清潔なタオルを当てて」とアドバイスする。

 患部の様子が白っぽかったり黒くなっていたりすれば重症の恐れがある。範囲の大小にかかわらず医療機関へ急いだ方がいい。程度がひどくなさそうでも、「子どもの手のひらより範囲が広い、後から水ぶくれができた、発熱した、などのケースは受診した方がいい」と西山さんは話している。

やけど予防のポイント
・子どもを抱いたままで飲食しない
・テーブルクロスは使わない
・卓上のへりなど子どもの手が届くところに、汁物や電気 ポットなど高温のものを置かない
・電気コードは子どもが引っかからないようにする
・チャイルドロック機能が付いた電気ポットなど、安全面 に配慮された製品を活用する
・給湯器の温度は54度以下に
(今井さんらへの取材を基に作成)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事